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絶好調決算は一過性?
日本の銀行業に未来はあるか

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第331回】 2014年5月28日
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メガバンク3行は史上最高益だが……
日本の銀行に「未来」はあるのか?

 2014年3月期の銀行決算は、絶好調であった。特に3メガバンクは、三菱東京UFJが9848億円、三井住友が8353億円、みずほが6884億円と、いずれもグループ連結利益で「史上最高益」を叩き出した。メガバンクばかりでなく、地方銀行も過去最高益が20行を超える。

 各行の決算を平均して眺めると、過去に「これでもか」というほどの長期金利下落を背景に銀行決算を下支えしてきた債券評価益が減少したものの、アベノミクスを背景とした株高の評価益に加えて企業業績の回復により、与信費用の戻りが大きくプラスに作用した。倒産が回避されたり債権分類が改善するなどして、損失とリスクに備えて過去に積んだ引当金が戻って利益となったのだ。

 それでは、今年度はどうだろうか。消費税増税の景気への影響を見極めるにはもう少し時間が要るが、景気がこれまでの延長線上でまあまあ順調だとして、既存の貸出債権の改善傾向は続くとしても、昨年よりはペースが鈍化するだろう。

 また、昨年ほどの株価の上昇は期待できそうにないし、現在は日銀が長期国債を購入しており長期金利の低位安定が続いているが、アベノミクスがこのまま順調に推移して物価の上昇傾向がはっきりすると、長期金利が上昇する可能性があり、連続しての最高益改善は難しいのではないか。

 率直に言うなら、今回の絶好調決算は「一過性」の印象がつきまとう。

 現在発売号の『週刊ダイヤモンド』(5月31日号)では、「地銀の瀬戸際、メガバンクの憂鬱」というタイトルで特集が組まれている。週刊ダイヤモンド編集部も、日本の銀行の先行きに対して、悲観的であるようだ。

 日本の銀行業に対して強気になりにくい理由は、銀行にとって日本国内のマーケットが儲かりにくいからだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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