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金融市場異論百出

ブランド価値を高めるスイス
ブランド価値に無頓着な日本

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2014年6月2日
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 スイスの超高級時計・宝飾グループ、リシュモンが2014年3月期決算を先日発表した。

 同グループは、カルティエ、ピアジェ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどを傘下に擁している。近年は2桁増の売り上げが続いていたが、14年3月期は5%増にとどまった。

 同グループだけでなく、スイス時計業界全体にとって最大の得意先である中国の売り上げが昨年失速したからである。習近平の汚職摘発運動が効いた。役人に円換算で数百万円もする時計を賄賂として贈るケースが激減した。13年3月のスイスから中国(本土+香港)への輸出は前年比16%減だった(スイス時計産業協会資料より)。

 だが、ここにきて変化が起きている。中国へのスイス製時計のこの3月の輸出は前年比6%増だ。リシュモンのCEOも「底を打った。上昇を始めた」と語る。汚職摘発運動が弱まったのではなく、自粛していたスイス時計好きの富裕層が買い始めた様子である。

 スイスの時計産業はしたたかだ。中国での販売が急減し、スイスフランの上昇が続いた昨年ですら、世界全体への輸出額はプラスを維持した。他の地域で堅調に伸びたからだ。スイスは国を挙げて時計のブランド力を高める努力を続けている。昨年6月には「スイスらしさ法」が可決された。新興国の商品との価格競争に拘泥せず、いかにしてブランドイメージを引き上げて国内の雇用を守るかという議論が常に行われている。

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