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創業40年で最大の構造改革
SAPが賭ける次世代商品の本気度
――「SAPPHIRE NOW」現地レポート

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第47回】 2014年6月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 6月3日、業務用ソフトウェア開発企業の独SAPが主催する年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW」が、米国フロリダ州オーランドで開催されている。SAPユーザー企業の社員や報道関係者など、約2万5000人が詰めかけた。

 今回のイベントでビル・マクダーモットCEOをはじめ、SAPの幹部が強調しているのは、「シンプル」という言葉だ。「Run Simple.」というキャッチフレーズを掲げ、顧客企業のITを単純化して、イノベーションにかける費用と時間を増やすことがその狙いだ。

 これは同時に、SAP自身が創業以来40年以上続けてきたビジネスモデルを大きく変え、新しい事業構造に転換する宣言でもある。

複雑化するITが
意思決定を遅らせる

基調講演でITのシンプル化を訴える、SAPのビル・マクダーモットCEO Photo:DOL

 シンプルの反対は「複雑」である。開催初日の6月3日朝に行われた基調講演でマクダーモットCEOは、いま企業経営や現場の作業環境は、どうしようもなく複雑だと語り始めた。

 「まず、マネジメントの複雑さ。企業組織は日々複雑さを増しており、多くの企業で20以上のレイヤーに分かれている。多くても7つ以下にしなければいけない。

 次にテクノロジーが意思決定を妨害する問題。会議等で報告に使うプレゼンテーションや表計算シートのデータは、それぞれにバラバラで連携していない。元のデータは1つであるはずなのに、加工する過程でずれてしまう。これでは正確な意思決定ができない。

 さらに、『ビッグデータ』の活用。業務によって蓄積されるデータは日々増大しているが、そのうち業務のために準備されるタグ付けされたデータは7%、実際に業務に活用されているのはわずか1%しかないという。増え続ける“ダークデータ”に対して、分析ツールを開発して使える状態にするのが間に合わないのだ」

 こうした状況下で、平均すると企業のITコストの72%はシステムの維持管理にのみ使われ、残り28%しか新たなイノベーションのために使われていないという。

 さまざまな業務手段がIT化されているのが当り前だが、たしかに、それによって業務の効率が飛躍的に高まり、新しいアイデアを練る時間が増えたと実感できる人は、どれだけいるだろうか。

 IT部門従事者の負担が増しているだけでなく、そのシステムを使う社員も、アプリケーションの細かいルールを覚える手間や、利用できるデータに限りがあったりして、自由自在に社内の情報にアクセスして活用できる状況とは程遠い。そしてその状況は、日々悪化しているように思える。

 この思いの裏には、自分たちがスマートフォンやPCでプライベートに使っている無料のメールサービスやSNSが、常に洗練されたインターフェースと自由な使い勝手を提供してくれることと無縁ではない。つい、「チャットするみたいに簡単に仕事の情報共有もできればいいのに」と思うのが人情だ。

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