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山崎元のマネー経済の歩き方

経営者とファンドの運用者の最適な報酬とは

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第11回】 2007年12月11日
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 共にサブプライム問題に絡む損失の責任を取るかたちで辞めた、メリルリンチのオニール前会長兼CEOとシティグループのプリンス前会長兼CEOの受け取る退職金は、円貨換算でオニール氏が約177億円、プリンス氏が約46億円相当になるという。ストックオプションや年金なども含まれた総額だというが、「大損をして辞めるのに、なぜだ」という声はアメリカでもあるらしい。

 2点補足しておこう。まず、彼らの退職金は、過去の稼ぎの報酬の1部をもらうもので、過去の貢献に対する評価が正当なら、単に事前の規定どおりに報酬を受け取るにすぎないということだ。問題にするなら、経営者の報酬を決める「ゲームのルール」のほうだろう。ただし、彼らは経営管理の適切性に関して今後訴えられて負ける可能性があり、退職金が丸々手に入るかどうかは、まだ不確実だ。

 彼らが業績を上げていたときにサブプライム関連のビジネスの利益もあっただろう。単年度で評価と報酬額が確定して、それを受け取ってしまったら、後で損をしても以前に受け取った報酬は返さずともよいというルールには、明らかに弱点がある。

 サブプライムのプレーヤーたちでこれがもっと明確なのは、ヘッジファンドの運用者だ。成功報酬が利益の2割なら、1000億円のファンドが初年度に2割値上がりして翌年に大損し半分になっても、最初の40億円は、もらったままだ。率直に言うと、サブプライムの証券化商品のように時価評価が複雑な商品の場合、意図的に1~2年だけ利益をつくることが可能だ。普通の株式の運用でも、小型株が対象なら一時的な収益操作はある程度できる。また、成功報酬にはオプションの性質があるので、これを手に入れてしまえば、後は運用のリスクを拡大するほどオプションの価値が高まる。

 成功報酬ならフェアだし、運用者や経営者もまじめに頑張るだろうと顧客や株主が素朴に考えるなら、かなりお目でたい誤解だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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