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【モーリス・ラヴェル「ボレロ」】
“音楽の本質”とは何か?20世紀ポップの原型

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第87回】 2014年6月12日
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 生命が誕生して40億年。その進化を司ったのは自然淘汰と適者生存です。これこそ、生命が厳しい環境を生き抜いてきた原動力で、その本質は競争です。だから人間は、常に誰かと競い合っているのかもしれません。

 競い方にもいろいろあり、闘争心剥き出しでライバルの足を引っ張ることに何ら痛痒を感じない人もいますが、中には恬淡として結果を受け入れる自然体の人もいます。案外、そんな人が大成するものです。

 と、いうわけで、今週の音盤は、モーリス・ラヴェル「ボレロ」です(写真はクリュイタンス盤)。

晩年の最高傑作「ボレロ」

 モーリス・ラヴェルと言えば、フランス近代音楽を代表する作曲家で、はっきり言って天才です。天才の例にもれず、ピアノ曲から室内楽、管弦楽曲、バレエ曲、更にはオペラまで非常に多作です。きっと頭の中には常に音楽が流れ、しかも誰も聴いたことのない真新しい響きだったに違いありません。「ダフニスとクロエ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「水の戯れ」「夜のガスパール」、更にはムソルグスキーの「展覧会の絵」の管弦楽への編曲等々、傑作ぞろいです。それ故、ひとつだけ選ぶのは容易ではありません。

 しかし、どうしても一つだけ選ぶとすれば、迷わず「ボレロ」です。

 数多ある傑作の中から、何故「ボレロ」なのか? 理由は二つあります。

 第1に「ボレロ」が作曲された経緯です。ここには、音楽家としての天才である以上に、人生の天才としてのラヴェルの姿勢が映し出されているのです。

 第2に「ボレロ」には、音楽の本質が極めて簡潔かつ明瞭に提示されている上、楽曲としても優れていることです。旋律、リズム、音色、ハーモニー、どれをとっても素晴らしく、繰り返し聴きたくなる麻薬的な魅力に満ちています。20世紀のポップの原型と言っても過言ではありません。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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ビジネス・パーソンは日夜、現場で闘って、日々、喜怒哀楽を感じる。実は音楽の現場も同じだ。だって、音楽もビジネスも、所詮、生身の人間が作る、極めて人間くさい営みだから。音楽には妙な薀蓄など不要かもしれないが、音楽が生まれる時には物語がある。それを知って聴けば、喜びが倍になり、悲しみが半分になるかもしれない。毎週1枚、心のビタミンになるような音盤を綴ります。

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