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鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

退化するLINE世代の話す・書く力
再強化へ注目したい“企業人”父の役割

鈴木寛 [東京大学・慶応義塾大学教授]
【第10回】 2014年6月26日
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13年ぶりの大学復帰での「発見」

 こんにちは鈴木寛です。

 FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会が始まって、2週間になります。サッカー協会の仕事で現地を視察して参りましたが、東京オリンピック・パラリンピック開催準備へ向け、参考になることが多々ありました。ブラジル視察で感じたことを含め、サッカーに関することは今後書いていきたいと思います。

 さて、私が日本を離れていた一週間、慶応大学SFC(湘南藤沢キャンパス)や東京大学リーディング大学院の講義・ゼミはすでに代講にさせてもらっています。SFCのゼミが始まってから、丸2ヵ月ということで、夏休みを前にちょっとした振り返りの時間にもなりました。

 改めて考えると、いまの学生は、歴代の教え子と比べて変わったと感じる点があります。大学キャンパスに軸足を置いて教えるのは13年ぶり。やはり気づかなかったことがあります。議員時代も客員教授や非常勤講師として「すずかんゼミ」で学生に教えてはいましたが、参加する学生は大学の枠を超えて自分から現職議員の元に飛び込んでくるような意識の高い優秀な学生なので、レギュラーの講義とはやはり違いました。もし、あなたが大学生や高校生の親御さんであれば、「保護者面談」でフィードバックを受けるつもりでお読みいただければと幸いです。

 まず発見は、大学院生と大学生との違いです。当たり前の話ですが、大人になっている大学院生と、子どものままの大学生の差があまりにも歴然としています。

 親に言われて渋々通っている大学生と、親の無関心・非協力を押し切って自分で決断し、自発的に通っている大学院生との本質的な違いから、その差が生まれているのだと思います。大学生の自律・自立力や自学自習力が高校生並みになってしまったという言い方もできますし、大学院生は、就職活動を体験して、これではまずいと思って、自覚し直したのかもしれませんが、企業の採用担当の方は、改めてそうした目で大学院生をみてみると面白いと思います。

 大学生に対して、小さくない「違和感」を覚えたのは、人前での発表です。ゼミでは、ソーシャルイノベーションや新事業創造を、座学だけでなく、ベンチャー企業やNPO法人とコラボレーションして実地で学ぶ「Project Based Learning」(問題解決型授業)をやります。実際に現場の空気に触れるので臨場感溢れる発表を期待していたのですが、13年前に比べると、少し劣っているように思いました。

 説明はできても、人を納得させたり、感動させたり、熱を伝えるプレゼンテーション力が衰えつつあるのかもしれません。もちろんなかにはキラリと光る学生も少なくありませんが、13年前はそんな学生ばかりだったので、その落差を痛感しています。

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鈴木 寛 [東京大学・慶応義塾大学教授]

すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官を務めた。


鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」

インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ごしていると、マスメディアから流される情報の濁流に流されていってしまいます。本連載では既存のマスメディアが流す論点とは違う、鈴木寛氏独自の視点で考察された情報をお届けします。

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