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米国で株式上場を成功させた「GoPro」の
今後の成長を疑問視する人の言い分

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第302回】 2014年7月2日
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GoProの日本サイト(jp.gopro.com)から

 6月26日、エクストリームスポーツ愛好家に人気の小型カメラの開発会社、ゴープロ(GoPro)がIPO(新規株公開)を果たした(ティッカー:GPRO)。

 収益が黒字でもないのに、将来への期待だけでIPOを敢行する典型的なシリコンバレー企業と比べると、ゴープロは「まともな」企業の部類に属するだろう。ゴープロはすでに広く知られたブランドで、2013年の売上は9億8500万ドル。これは前年度比較で87%の伸び。また収益は2012年からほぼ倍増して6100万ドルだ。

 そんなまともな企業に対する確実な評価からだろう。同社株は、24ドルで公開された当日に30%以上も値上がりした。熱狂は2日目も続き、一時は40ドルを超え、同社の企業評価額は80億ドルにもなった。ハードウェア製品への関心も手伝って、ゴープロは有望な公開企業への一歩を踏み出したのだ。

 ところが、ゴープロの将来を考えるとことはそう単純ではない。ビジネスモデルや競争の上で、あまり安泰ではいられない要素がたくさんあるのだ。

ユーザー体験を記録する
広角カメラがトレードマーク

 その説明に入る前に、ゴープロのカメラを簡単に説明しよう。

 ゴープロは、手のひらに載るほどの小型軽量カメラで、ビデオと静止画両方の撮影が可能だ。たいていは、スポーツをする本人が身体のどこかに装着して撮影する。レンズは広角で魚眼レンズのような効果があるため、サーファーがくぐっていく大波のトンネルが追体験できたり、スキーヤーが高速で滑降するスロープの前方を見渡せたりできる。

 つまり、これまでにないスリリングな画像が共有できるのが、何と言ってもゴープロの売り。カメラのメーカーではなく、「体験を売る」のがゴープロのビジネスだと、同社創設者でCEOのニコラス・ウッドマンも語っている。そもそもゴープロは、ウッドマンが自身のサーフィングをうまくカメラに収めたいと開発し始めたことが起業につながった。

 価格は、安いものならば200ドル(約2万円)を切る。カメラ以外にアプリやWifiで接続可能なリモートコントローラーがあり、カメラを遠くから操作したり、撮った画像をすぐにPCやスマートフォンでプレビューしたりすることが可能。スポーツの興奮をそのままに、簡単に処理ができるのも人気だ。

 また、装着するためのマウント製品も、他メーカーにはない豊富さだ。ヘルメットに付ける、ボディに付ける、サーフボードに付ける、グライダーに付けるといったことが簡単にできるよう、20種類以上の独自開発のマウント製品がある。付け方を変えればアングルがドラマティックに変化し、それがまたユーザーの工夫心を刺激する。

 最近は、スポーツマンに限らず、消防士や警察官、ミュージシャン、そして旅行に出かける家族などが利用するカメラとして、広く親しまれるようになっている。

 そんなゴープロは、ニッチなエクストリームスポーツのユーザーから始まって、すでに揺るぎなき人気製品となっているようにも見えるが、挑戦はこれからやってくると見る関係者は多い。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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