レポートや企画書の書き方を一から教えてもらった経験のあるビジネスパーソンはほとんどいないでしょう。「わかりやすく書け」と言われても何をどうすればわからず途方に暮れた人もいるかもしれません。そんな人におススメしたいのが、今回ご紹介する『新版 考える技術・書く技術』。あのマッキンゼー・アンド・カンバニーをはじめ、主要なコンサルティング・ファームで教えられている文書作成術をまとめた一冊です。

誰でも論理的な文章が書ける
「ピラミッド構造」の考え方

バーバラ・ミント著『新版 考える技術・書く技術』1999年3月刊。見た目以上にぎっしり内容がつまった一冊です。

 本書の原題は“The Mint Pyramid Principle”で、邦訳副題にもある「ピラミッド原則」によるライティング(作文術)の教科書です。最初の版は1973年に出版され、81年、86年、そして96年に改訂されています。本書は96年版の邦訳です。十数年以上、版を重ねているロングセラーで、多くの読者に評価されているメソッドなのです。

 全体は4部に分かれ、以下のように構成されています。

第1部 書く技術
第2部 考える技術
第3部 問題解決の技術
第4部 表現の技術

 単なる作文の技術ではなく、「演繹法」と「帰納法」に関する分析など、思考法を含む論理学のイロハまで含まれています。

 ミントの独創的な方法論は、常にピラミッド構造を前提に置く点にあります。一つのメッセージ(テーゼ)には必ず下部にピラミッド状の要素を配列する、という考え方です。一種の要素還元主義であり、近代科学の基本的な思想でもあるでしょう。

 ある事柄についてあなたの書いたものを読み、あなたが伝えようとしていることを理解しようとする。このことは、実は読み手にとって大変に複雑な作業を意味しています。たとえあなたの書類が2ページ程度の短いものであっても、その中にはおおよそ100の文章(センテンス)が含まれています。読み手は、これらを一つずつ読み取り、理解し、関連づけ、全体を把握しなければなりません。もしこれらの文章がトップダウンに展開するピラミッド型で構成されていれば、読み手の作業ははるかに楽なものになるでしょう。ピラミッド型の展開は、読み手の頭の中で起こる基本的なメカニズムを反映しているからです。(5ページ)

 したがって、論理的な序列をピラミッドにして構成を考えれば、読み手も短時間で理解できるというわけです。

 基本的には、論理的な並べ方には4つの方法しかありません。
●演繹の順序(大前提、小前提、結論)
●時間の順序(1番目、2番目、3番目)
●構造の順序(北から南、東から西、等)
●比較の順序(1番重要なもの、2番目に重要なもの、等々)(17ページ)

 書こうとしているテーマを前に、この4つの並べ方から一つか二つを選び、ピラミッドを作ることになります。