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金融庁もイラ立つ
投資信託の乗り換え勧誘を抑止する法

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第337回】 2014年7月9日
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2年ごとの乗り換えでお客の資産が3%減
投信販売の試算に見る金融庁のイラ立ち

 金融庁は案外意地悪だ。7月4日に発表した『金融モニタリングレポート』の中で、銀行の投資信託販売について取り上げているのだが、この内容がなかなか辛辣なのだ。

 金融庁は、銀行の投信顧客が、2003年度から2013年度にかけて、投資家が仮に2年ごとにその時々の売れ筋投信に乗り換えた場合にどうなったかを試算した。その結果は、投資した資産が3%減っただろうという無残なものだった。

 なぜ「2年ごと」なのかというと、2013年度末に投信顧客の平均保有期間が2年なのだという。この数字は証券会社経由販売分も含むが、近年短期化の傾向を示し、2009年度と比較して1年近く短期化している。金融庁によると「主要行」の顧客の投信の平均保有期間は2.5年なので、今や銀行と証券に大差はない。

 2年ごとに、その当時の「売れ筋」商品を勧められてこれに乗り換える。典型的な投信顧客はこんな状況だろうが、案の定上手く行っていないではないか、という金融庁の痛烈な皮肉が示された試算だ。

 投資信託の投資家に限らず投資家一般の傾向として、投資商品の現在の価格が、自分が買った価格よりも高いと割合簡単に売りたくなり、買値よりも安いと(「負け」を確定するから)売りたくなくなる傾向がある。

 保有期間の短期化については、リーマンショックの後の2009年度は投資家の買値よりも値下がりしている投信が多かっただろうから、アベノミクス相場で基準価額が上がった投信が多かったはずの2013年度とは状況が異なるという事情はあろう。

 とはいえ、基準価額が自分の買値よりも高いか安いかは、本来投資家が自分の保有する投信を売るか否かの決定に大きく影響させるべき要因ではない。2年であるにせよ3年であるにせよ、投資家にとっての損得から考えて、投資信託の保有期間として短か過ぎることは否めない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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