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これからの日本ブランドの30年にむけて

そのイノベーションは、本当にブランド価値につながっているか?――「日本ブランド」の未来を拓くオープンイノベーション

田中英富,木戸彩子,田中剛志,新井祐介
【第5回】 2014年7月18日
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求められるイノベーションのスピードに
「日本ブランド」は追いつけるか

 世界有数の航空機メーカー、ボーイング社のマックナーニCEOは、最近折に触れ「もっとアップルのようになりたい」と周囲に漏らしているらしい。その真意はどこにあるのか。

 航空機業界と言えば、重厚長大産業の筆頭であり、そのイノベーションのサイクルは30~40年と考えられてきた。しかし、そのサイクルで次世代航空機を開発するだけでは、これからの経営は立ち行かない。まさしくアップルがiPhoneやiPadで成し遂げたように、今や航空機メーカーにさえ、技術イノベーションを顧客価値へ変換することを、スピード感を持って実行することが問われているのである。マックナーニCEOのつぶやきは、まさに国境も業界も越え、あらゆる企業にイノベーションの進化とスピードアップが求められていることの証左に他ならない。それは言うまでもなく「日本ブランド」にとっても最重要課題である。

 一方で、インターネットの普及を背景に、かつては大企業が社内研究を基盤として専有してきた技術やイノベーションに関する情報力の優位性がなくなりつつある。情報力という大きな参入障壁がなくなったことで、どのような業界でも新規や他業界からの参入が容易になった。たとえヒット商品を生みだしても、直ぐに誰かが似たようなモノ、さらにはもっと良いモノを創り出すことが可能な時代であると言えよう。知識・情報の流れが加速するのと同じ速度で競合が現れ、競争が激化することで、新製品は瞬時に輝きを失い、コモディティ化されていく。

 こうして製品ライフサイクルは短くなり、企業は、息つく暇もなく次々と新しい価値を創造しなければならないプレッシャーにさらされている。このことは、企業内部のリソースだけで取り組む従来の開発アプローチの限界を示している。時間とコストが追いつかないのだ。

自社リソースの限界の先へ挑む、
共創型の価値創造という新発想

 そこで発展してきたのが、社内リソースだけに頼らず外部の協力を得て、イノベーションを模索する共創型の価値創造アプローチである。情報力という参入障壁が消滅した今、逆にインターネット等、オープンコミュニケーションの場を活かしてイノベーションを進化させていく狙いである。開発プロセスをオープンにし、エンドユーザーや異業種企業など、社内外を問わず広く技術やアイデアを集めて、新しい価値を創り出していこうという動きは、既に世界のあらゆる業種に広がっている。

 P&Gはオープンイノベーションを仕組み化した「コネクト+デベロップ」を、重要な経営戦略のひとつに位置づけ、個人から大企業、研究機関まで多岐にわたるパートナーと、製品技術やパッケージ、ビジネスモデルなどの幅広い領域で様々なイノベーションを生み出している。Xeroxは、クラウドソーシングを活用することで、長年社内で解決できなかった技術的課題を、従来の10分の1のコストで解決できた。

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インターブランドは、1974年、ロンドンで設立された世界最大のブランドコンサルティング会社。世界27 カ国、約40 のオフィスを拠点に、グローバルでブランドの価値を創り、高め続ける支援を行っている。インターブランドの「ブランド価値評価」は、ISO により世界で最初にブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められ、グローバルのブランドランキングである“Best Global Brands”などのレポートを広く公表している。
 インターブランドジャパンは、ロンドン、ニューヨークに次ぐインターブランド第3の拠点として、1983年、東京に設立された。ブランド戦略構築をリードするコンサルタント、ブランドのネーミング、スローガン、メッセージング、ロゴ・パッケージ・空間・デジタルのデザインを開発するクリエイターが在籍し、さまざまな企業・団体に対して、トータルにブランディングサービスを提供している。著書に「ブランディング7つの原則」(日本経済新聞出版社刊)。


これからの日本ブランドの30年にむけて

 日本経済は世界第3位の規模を誇るものの、「グローバル」における「日本ブランド」のプレゼンスはその経済規模に見合ったものになっているとは言い難い。世界と伍して戦える“強いグローバルブランド”の存在なくして、少子高齢化が加速するこの国の未来はない。
 2020年の夏季五輪大会の東京招致成功は、日本全体が長期的な視点で物事を考え、改革を進める機運をもたらした。私たちはこの機会を逃すことなく、2020年を通過点と捉え、さらにその先を見据えた日本企業のブランドの姿を考えなければならい。
 インターブランドジャパンは設立30年を契機とし、これからの日本の“30年”にむけ、 “強いグローバルブランド”確立のために、「日本ブランド」が今取り組まなければならないことは何か、長期的な視点から、多面的な提言を行う。
 

「これからの日本ブランドの30年にむけて」

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