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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

3期連続無配のシャープは復活したといえるのか?
「在庫の積み増し」だけで増益を画策できる会計制度の罠

高田直芳 [公認会計士]
【第137回】 2014年7月18日
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 先日、Windowsの更新プログラムをインストールして再起動したとき、「Windowsを構成するための準備中」と画面表示されたままフリーズする、という恐怖を味わった。セーフモードで復元処理を行なうことにより、無事に問題解決を図ることができたが、こういうのは心臓によくないものだ。

 問題解決への対処の仕方がわからないとき、人はパニックに陥る。筆者の場合は、拳で頭を叩く癖があるようだ。

 読者の上司は「いざ」というとき、どのような癖を示すだろうか。人間観察は、あまりよい趣味とはいえない。しかし、腹のすわった対応をみせられると、「この人についていこう」と思わせる場合もある。

 今回取り上げるシャープの経営陣は、2012年の半ばあたりまで、針のむしろに座らされた思いであったろう。資金ショートという恐怖もあったはずだ。

 そのとき、シャープはどのようにして問題解決を図っていったのか。部外者は知るよしもないが、現在の業績回復を見ていると、なんとか持ちこたえたようだ、という思いを強くする。

 それを推測できる様子を、〔図表 1〕の回転期間分析で確認してみよう。

在庫を持つことの
機会費用は何か

 〔図表 1〕は、次の〔図表 2〕の組み合わせにより描いたものだ。

 〔図表 2〕を四半期ごとの移動平均で展開して描いたものが、〔図表 1〕である。

 〔図表 2〕右辺第1項の売上債権は受取手形と売掛金であり、同右辺第3項の買入債務は支払手形と買掛金である。買入債務回転期間は控除項目である点に注意してほしい。

 〔図表 1〕の営業運転資金回転期間(赤色の実線)を見ると、2012年6月期まで上昇しているのがわかる。これは資金繰りが逼迫していることを表わす。

 2012年3月期の営業活動キャッシュフローは▲1433億円、2013年3月期は同▲811億円であったことからも、シャープの資金繰りの苦しさが裏付けられる。

 通常、資金繰りが逼迫する要因としては、遊休資産や過剰負債の存在などが挙げられる。他にもさまざまな要因があるだろう。本コラムでは〔図表 1〕の回転期間分析から、シャープの資金繰りを推測してみる。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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