GPIF前運用委員・小幡績氏の新著と
筆者の見解の一致点・相違点

 以前本連載で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のあるべき組織体制については、機会を改めて書いてみたいと述べた。その後、この問題について考えていたところ、経済学者の小幡績氏がその名も『GPIF 世界最大の機関投資家』(東洋経済新報社、7月17日発行)という書籍を緊急出版され、その中で検討の参考になる良い改革案を書かれていることを知った。

 小幡氏は、先日安倍内閣によってGPIF運用委員会の委員の大幅な入れ替えが行われた際に退任されたが、それまで4年間同委員会の委員を務めておられたので、GPIFの運用方針検討の内情をご存じだ。GPIFの資産運用の問題を解説されるには絶好の著者による1冊であり、市場関係者もそれ以外の方々も、前掲書をぜひ読んでみられることをお勧めする。

 筆者は、GPIFの運用委員会と性質の似た国家公務員共済組合連合会(通称「KKR」)の運用委員会の委員を務めている。その関係で詳細をお伝えすることはできないが、現在市場関係者が注目するGPIFの運用方針見直しは、結果の公表は少し先になるとしても、「案外早いペースで」市場に影響してくる可能性が大きいと申し上げておく。

 フローとストックを直接比べるわけには行かないが、一般会計の国家予算(90数兆円)よりも大きな資産(約130兆円)を運用するGPIF及びその運用計画の実情を、国民は知っておく価値がある。

 小幡氏の著書では、GPIFの運用計画の成り立ち、GPIFの運用計画自体の改革試案(小幡氏案)、GPIFの組織体制改革案などが述べられている。

 詳しくは同書を読んでいただくとして、GPIFのあるべき組織体制を考える上でも関わりが出てくるので、GPIFに関する小幡氏の見解と筆者の見解との一致点・相違点を、簡単に整理しておく。