プロジェクトが失敗すれば「即刻クビ!」
絶体絶命の危機を回避した手法とは?

連載第5回では、日本の企業社会とグローバルの企業社会を比べた場合、「残業」に対する考え方にはどんな違いがあるのか、また、グローバル基準の「残業の仕方」とはどんなものかについて、僕自身の体験談を交えながら語らせてもらった。

「ホワイトカラーエグゼンプション」の洗礼を受けた僕のデビュー・プロジェクト体験は、読者諸氏から驚くほど大きな反響をいただいた。これは、「残業代ゼロ論争」が盛り上がっている今の日本において、いかに残業の在り方についてビジネスパーソンの問題意識が高まっているか、また、いかに多くのビジネスパーソンが「残業ゼロを実現するのは簡単ではない、難しい」と実感しているか、ということの証左だとも思う。

 なにより、偉そうに語っている僕自身も、シンガポールで働き始めてから、大量の仕事を残業ゼロで終わらせる術をマスターするのに、まる5年を費やしたのだ。日本式のワークスタイルを変えることが難しいことはよくわかるが、「残業代ゼロ問題」はもはや待ったなしの状況だ。そろそろこのへんで、自分たちのワークスタイルを見直す必要がある。

 そこで今回は、僕がグローバル企業で実践してきた仕事のやり方をベースにして、今の仕事量であなたの残業をゼロに変える「仕事圧縮術」を、具体的にお伝えしよう。

日本の「残業代ゼロ論争」にモノ申す!(中) <br />完成度なんて6割で十分、スピードと結果こそ命!<br />残業無用のグローバルで生き残る“仕事圧縮術”シンガポールのベイサンズとリーゼントの僕。なぜだろうか、親近感を覚える

前回紹介した通り、シンガポールで仕事を始めたばかりの僕は、いきなり「残業」にまつわる現地の壁にブチ当たってしまった。そして、前任者から「絶対に期限内に終わらせるのは不可能」と言われたプロジェクトを指揮しながらも、膨大な工数のためSE(システムエンジニア)を増やそうにも予算はなく、さらにSEスタッフへの残業禁止を宣告されてしまうという窮地に陥っていた。

 この不可能に近いプロジェクトが失敗に終われば、僕は「即刻クビ」という絶体絶命の状態。まずは、その窮地を脱するために行った2つのポイントを紹介しよう。