「すき家」の長時間労働問題で
白黒判定は限りなく「黒」?
牛丼チェーン「すき家」の長時間労働等の問題で、同チェーンを運営するゼンショーホールディングスが設置した第三者委員会(久保利英明委員長)の調査報告書が発表された。
世間には、「白黒をはっきりさせる」という表現があるが、いわゆる「ブラック企業」ではないかとの世評の高いすき家及びゼンショーホールディングスに関して、決着を付ける内容が期待された報告書だ。
第三者委員会とはいえ、ゼンショーホールディングスが設置した委員会であり、報告書の記述は随分マイルドだという印象を筆者は持ったが、事実の収集、従業員・クルー向けのアンケートの実施、インタビューなどを基にまとめられた報告書には、過大な労働負荷が継続的・状態的にかけられていた事例がいくつも報告されており、全体の印象として少なくとも調査対象期間の「すき家」は、従業員を使い潰すことをいとわない「ブラック」な職場だと認定されたと見てよいと思う。
過重労働問題に対する「まひ」が社内で蔓延し、劣悪な労働環境が常態化していたと報告書は結論し、経営層の意識改革や、経営体制の変革、1週間当たり一定時間を超える長時間労働を禁止するルールの設定などを、提言している。
これを受けて、ゼンショーホールディングスの小川賢太郎会長兼社長は、7月31日の記者会見で「是正すべきことは是正する」と述べ、深夜の1人勤務の解消方針を述べたものの、店舗数の削減や自身の引責処分については否定的な見解を示した。
これで十分と見るか否かは人によるだろう。不十分ではないか、あるいは十分であるか疑わしいと思われる方は、続きにお付き合いいただきたい。