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安東泰志の真・金融立国論

会社再生の有望策・事業再生ADRは
産業の新陳代謝を促す切り札となるか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第48回】 2014年8月6日
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5月29日、ジーンズ大手「エドウイン」が、事業再生ADR手続が成立した、と発表した。この事業再生ADRは今後非常に有望視されている私的整理の手段である。そこで、今後、中堅中小企業の経営者が必ず知っておくべき事業再生の各種制度を比較し、特に事業再生ADRの今後の展望を考察してみる。事業再生ADRがより有効性を高めるには、全会一致が必要だった債権者決議を多数決に変えることが有効だ。

産業の新陳代謝を
進めるために

 平成26(2014)年5月29日、ジーンズ大手「エドウイン」がプレス発表をした。

 「本日開催された債権者会議にて、全てのお取引金融機関からご同意をいただいて、事業再生ADR手続が成立いたしました。弊社は、伊藤忠商事グループからの出資を得て、伊藤忠商事株式会社の子会社となり、再出発を果たすこととなります」

 報道によると、エドウインは約230億円の債権放棄を受けるとともに、伊藤忠が出資や貸し付けなどで300億円超の支援をするという。

 「債権放棄」、「事業再生」、「再出発」……、といったフレーズから、エドウインは大変な経営危機にある、と印象を持った人も多いのではないか。しかしながら、実際はエドウインのジーンズの人気は衰えておらず、本業は堅調であるという。今回の事業再生ADRの利用は、デリバティブ(金融派生商品)の取引失敗で生じた巨額の損失及びそれを主原因とした多額の借入を整理するためだったようだ。

 今後日本で産業の新陳代謝を進めるためには、裁判所を通した民事再生法などの「法的整理」とは別に、裁判所を通さない「私的整理」がもっと活用されなければならないことは明らかだ。特に、エドウインが使った事業再生ADRは今後非常に有望視されている私的整理の手段である。今回は、やや専門的な分野に踏み込むことになるが、今後、中堅中小企業の経営者が必ず知っておくべき事業再生の各種制度を比較し、特に事業再生ADRの今後の展望を考察してみる。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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