上司 「この企画書、体裁が指示したのと違うね。仕方ないなぁ。今日はもう遅いから、明日またやり直してくれたらいいよ」

[本音]
久々の新人の女性社員の配属。ミスをしたときもきつく叱らない、残業はなるべく頼まない、と気を遣って接してきた。それなのに、いま1つよそよそしさが消えないのはなぜだろう? 早く職場になじんで能力を発揮してほしいのに……見込み違いだったのだろうか?

女性部下 「はい。すみませんでした。次は気をつけます」

[本音]
やっぱり私が女性だから気を遣っているんだな。仕事がやりにくいと思われていたらどうしよう。残業して早く仕事を覚えたいのに、そんなこと言ったらまた気を遣わせちゃうから黙っていたほうがいいのかな……。

 いま職場では女性部下とその上司とのあいだで、こうしたすれ違いが頻発しています。団塊世代の大量退職、少子化の進行、長年続いた採用抑制によりいびつになった社員の年齢構成の軌道修正……こうした背景が積み重なり、優秀な若手人材の奪い合いが激しさを増しています。

 そこで、地方の優秀な大学生に次いでクローズアップされているのが、女子学生の存在です。その結果、社内に女性社員の姿が増え、自分の部署にも新人の女性社員が配属された、という人も多いのではないでしょうか。

 しかし、女性部下を前にセクハラやパワハラを過度に気にして尻込みしたり、「大切に育てたいからこそ、いろいろ気を遣っているのに、肝心の相手はどう感じているのかいま1つつかめない」と、女性部下のモチベーションのツボがどこにあるのかを把握できなかったり……。

 「女性部下をもつことになった男性上司」「女性部下を束ねる役割の女性社員」あるいは「マネジメントされる側の女性部下」のみなさんは、日々、どんなすれ違いを感じているのでしょうか? まずは、実際にいま職場で起きている上司と女性部下がすれ違うケースの1例を見てみましょう。みなさんの気遣いは本当に相手に通じているのでしょうか?

本音を見せない女性部下 vs
しゃべりすぎてしまう上司

上司 「いつまでも受け身のままじゃ、成長できないよ。オレの若いときは、いろいろチャレンジしたものだ。たとえば……」

[本音]
女性の部下から話があると言われ面談の時間を設けたが、“もうダメです”“辞めたいんです”の一点張り。自分が若手だったときの話をして励ましてみたが、参考になっただろうか?

女性部下 「はい……。お時間いただき、ありがとうございました」

[本音]
自分の気持ちを聞いてほしくて面談を申し込んだけど、結局上司は自分の昔話ばかりで聞いてくれなかった……。