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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

故郷の生き残りを懸け、しがらみを打ち砕けるか?
無風の弥彦村長選に36年ぶりの嵐を呼ぶ元新聞記者

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第105回】 2014年8月12日
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過疎化や高齢化で存続自体が危うい?
地方の風向きを変えそうな弥彦村長選

 お盆休みを故郷で過ごしている方は多いだろう。そして、帰省する度に故郷の行く末への危機感が募るという人も少なくないのではないか。過疎化や高齢化が加速し、存続そのものが危うくなっている地域が広がっている。

 少子化と都市部への人口流出ともに歯止めがかからず、むしろ、人口減に拍車がかかっている。さらなる財政難に見舞われる自治体も増えており、このまま何も手を打たずにいたら、2040年には全国の自治体の半数が消滅してしまう可能性があるとの衝撃的な予測も発表された。

 お盆休みに帰省したいが、もはや故郷には迎えてくれる親戚はもとより住んでいる人すらいないといった事例が、今後、各地で続出しそうだ。故郷や田舎、地元といった愛しきものがごっそり消滅してしまいかねない危機に、日本は直面している。

「日経時代よりもずっと健康だ」と語る小林さん。ストレスなく、自給のコメと野菜で肉体年齢は54歳と判定されたという

 「(田舎に)戻ってきて選挙に出ることになるなんて、思ってもいませんでした。この村がうまく回っていれば、出るつもりはありませんでした」

 こう冷静に語るのは、新潟県弥彦村で農業を営む小林豊彦さん。現在、69歳だ。小林さんは7月28日に弥彦村内で記者会見を行い、来年1月予定の弥彦村長選への立候補を正式表明した。すでに現職の大谷良孝村長(58歳)は出馬表明しており、4選を目指して地区ごとの後援会も立ちあげている。このため弥彦村長選は、69歳の新人候補と58歳の現職による一騎打ちとなる見込みだ。

 新潟県弥彦村は、年間100万人以上の参拝客を集める弥彦神社がある県内屈指の観光地で、農業の村でもある。人口8540人(2014年7月31日現在)の小規模自治体である。そんな弥彦村の村長選は、どこにでもあるような小さな村のごく普通の首長選にすぎないように見える。

 しかし、取材するといくつか注目すべき点が浮かび上がってくる。閉塞感強まる地方自治の現状を打破する新たな動きの萌芽のようなものが、見え隠れするのである。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


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国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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