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トンデモ人事部が会社を壊す

合併してもケンカばかり…
起死回生の秘策は“2ちゃんねる”導入

山口 博
【第5回】 2014年8月12日
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統合される側の鬱屈がいきなり爆発!
楽しいはずのクリスマスイベントで凍り付く

 「イツモ・ゴクロウサマ」「メリー・クリスマス!」。にこやかで紳士的なスマイルをふりまきながら、外国人社長が社員たちにM&Mチョコレートのテトラパックを投げ渡す――。

 北米の金融機関N社と、N社に統合された日本の保険会社E社。統合後最初のクリスマス当日、北米にあるN社のグローバル本社からエキスパートとして出向してきていたN社日本法人の社長の演出だった。ところが、この心暖まる行為が、E社社員たちの怒りを爆発させた。「チョコレートを投げ渡される屈辱に耐えられない」と。

 なぜ、こんな不可解なことが起きたのだろうか。その背景には、企業統合にありがちな、ボタンの掛け違いがある。それぞれが抱えていた、内心の思いを見てみよう。

N社:「E社の営業プロセスは、N社に比して20年遅れている」。「E社の営業担当者には、設計自在度の高い商品を売るスキルがない」。さらには、「富裕層へアプローチし、高収益を上げることが何よりも優先される。なぜE社はそれがわからないのか?信じられん!」…。

 一方のE社はどうかというと…。

E社:「N社は、日本の保険業界のことが全くわかっていない」。「N社の商品は日本では根付かない。かつて大手保険会社が同様の商品で失敗していることを、N社の幹部はわかっていない」。「日本の保険業界は、個別継続訪問という薄利多売モデルによって成り立っている。富裕層・高収益モデルは、日本の営業職員チャネルの否定だ。けしからん!」

 ただでさえ、統合される側はプライドが傷ついているものだ。統合する側は、そんな傷つきには気づこうともせず、自分たちのやり方を押し付けようとする。多くの統合企業に見られる、こうしたボタンの掛け違いによる鬱屈が、楽しいはずのクリスマスに爆発したのだ。しかし、依然、N社と直接コミュニケーションをとろうとはしない。一方、チョコを笑顔で配ったN社の社長は、これがなぜ問題になったのか全く理解できない。

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山口 博

やまぐち・ひろし/慶應義塾大学法学部政治学科卒(サンパウロ大学法学部留学)、長野県上田市出身。国内大手保険会社課長、外資系金融保険会社トレーニング・シニア・マネジャー、外資系IT人材開発部長、外資系企業数社の人事部長、人事本部長歴任後、現在、コンサルティング会社のディレクター。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日本ナレッジ・マネジメント学会会員。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。

 


トンデモ人事部が会社を壊す

サラリーマンの会社人生のカギを握る人事部。しかし近年、人事部軽視の風潮が広まった結果、トンデモ人事部が続々と誕生している。あっと驚く事例をひもときながら、トンデモ人事部の特徴や、経営陣がすべき対処法などを探っていく。

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