第1回から第4回にかけて、「すべての英語学習の基礎は『発音』にある」という話をしてきました。最終回では、『1年海外留学するよりも英語ができるようになる 完全独習英語発音トレーニング』の著者・竹内真生子さんに、「正しい発音」を身につけるためのポイントを紹介していただきます。
英語の発音といえば、舌や唇の形を細かく覚えていくような「めんどくさい」イメージがありますが、実は、正しい発音を身につけるうえで大切なのは、体全体の「筋力」だそうです。海外留学経験のない大人でも、たった3ヵ月でびっくりするほど発音がよくなる、その秘訣はどこにあるのでしょうか?
日本人の発音が通じない本当の理由
突然ですが、問題です。
英語の発音がいい人は次のうちのどれでしょう。
1‐耳のいい人
2‐外国語を1ヵ月でマスターしてしまう人
3‐英語圏で生まれた人
4‐10代から英語圏に留学した人
5‐バースデーケーキのろうそくを一回で吹き消せる人
正解は5です。
すでに書きましたが、英語の発音でたいせつなのは、耳でも、語学のセンスでも、海外経験でもありません。実は、一番たいせつなのは、息を吐く力、つまりおなかの筋力なのです。英語圏では、バースデーケーキにさしたろうそくの火を一度で吹き消せる子どもに、「この子は将来、いい英語を話すようになる」と言ったりするほどです。
確かに、英語の音のなかには、日本語にない音がたくさんあります。ですが、日本人の発音がネイティブに通じない最大の原因は、音そのものよりも、息の強さにあります。英語のネイティブではないヨーロッパ系の人の英語が、強いなまりがあっても通じるのは、息を吐き出す力が強く、音がしっかり相手に届いているからです。
また、おなかの筋肉に加えて、日本人は舌や顔の筋肉も不足しています。たとえば、日本語の発音では舌を力ませることがほとんどありません。そもそも、「舌を力ませてください」と言われたところで、いったいどういうふうにすればいいのかわからないのが普通でしょう。英語の発音では、舌に力を入れてスプーンのような形にしたり、相手に舌が見えるほど外に突きだしたり、日本語の何倍も筋肉を使います。口のまわりの筋肉も同様です。
もうおわかりだと思いますが、英語の発音で一番たいせつなのは、「体の筋力」なのです。「おなか」「舌」「口」「顔」の筋肉を英語仕様にするだけで、あなたの英語の発音は、びっくりするほどネイティブに通じるようになります。
今回は、ほんの数十秒から1分でできるカンタンなエクセサイズを紹介します。ぜひ、「朝、起きたらやる」「夜、おふろのなかでやる」と決めて、毎日の習慣にしてください。それだけでも、体は徐々に英語仕様になっていきます。