働くことに悩みを抱えた当事者を新たに傷つける“ブラックサポステ”の実態について、『AERA』の今週号に執筆した。

 サポステとは、厚生労働省の支援事業である「地域若者サポートステーション」(愛称・サポステ)のことだ。

「事業を受託している支援者のやり方に合わないと、支援してもらえない」

 そう訴えて筆者の元にメールをくれたのは、20代女性のAさん。

「社会に出て働きたいのに、私の意向はまったく聞いてもらえず、上から目線で詰問される。まるで就職という道を外れると、個人に問題があるかのように『君たちのために支援してあげてるんだよ』という感じが、何とも気持ち悪いんです」

 話を聞いてみると、サポステ側の支援と当事者の思いとのミスマッチぶりが浮かび上がった。

 元々、サポステ事業についてのミスマッチぶりは、他の当事者たちからも聞いていた。

 筆者は、サポステ的な事業について、引きこもる当事者が最初に外に出ていく先の「居場所的な機能」としての役割があると思っている。

 しかし、とくにAさんが体験したというサポステの実態には、違和感を覚えた。

「対人恐怖症でひきこもり傾向」
サポステで“強要”された人間性

 Aさんは、大学卒業後に入社した会社でセクハラやパワハラを受け、恐怖で緊張して言葉を発することができなくなり、退職。ハローワークでも、窓口の相談員から「早く決めなきゃ、空白期間が付いちゃうよ」などと、まるで自分が悪いかのように責められた。

 そんなとき、「働くって、何だろう?」と思いながらネットで見つけたのが、サポステ事業だった。