人口構造の変化により、介護に対する需要は今後ますます増える。そうした需要に応えられるか否かを検討することとしよう。

要支援・要介護者が1.6倍に増える

 「平成24年度 介護保険事業状況報告」によると、認定者の状況は、図表1のとおりだ。このように、認定者の大部分は75歳以上だ。

 2012年度末において75歳以上の第1号被保険者数は1520万人、要支援・要介護認定者が477万人である。つまり、75歳以上の31%は、要支援・要介護になっているのだ。

 年金の場合には65歳以上人口の増加が問題になるが、介護保険は75歳以上の人口の増加が問題となる。

要介護者が倍増する事態に対処できるか?<br />――介護従事者の確保が最重要の課題

 ところで、将来人口推計によると、今後増加するのは主として75歳以上である(図表2参照)。団塊世代がこの年齢層になるからだ。75歳以上人口は、10年には1419万人であったが、20年には1879万人と1.3倍になり、30年には2278万人と1.6倍になる。

 65~74歳人口は2016年がピークで、それ以降2020年代末まで減少するが、75歳以上人口はこの間も増加を続けるのである。そして、2017年以降は65~74歳人口より多くなる。

 上述した認定者状況から考えて、要支援・要介護者は、75歳以上人口の増加にほぼ比例して増加するだろう。したがって、30年頃には、10年の1.6倍程度に増えるだろう。

 認定者はこれまでも増えてきた。00年度には256万人だったが、12年度には561万と、2.19倍になっている。それがさらに増加するのだ。

 こうして、過去の日本社会とまったく異質の社会になる可能性がある。75歳以上人口は、1960年には164万人でしかなかった。80年でも366万人だった。それが2020年代からは2000万人のオーダーになるのだ。