創続総合研究所
吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」
【第6回】 2014年9月9日
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吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]

売却か賃貸か、どうする「実家問題」
“争続”を避け賢く引き継ぐ方法を考える

空き家にすれば維持のための
コストと労力はバカにならない

 では、具体的に「実家問題」に直面したときに、どうすればいいか考えていこう。ここでは、子の視点で考えてみる。

 子が親の自宅を利用しないという前提での主な選択肢としては、以下の通りだ。

① そのままにしておく(空き家となる)
② 実家の土地建物を売却する
③ 実家の建物を活かして、他人(個人・法人)に貸す
④ 使わなくなった建物を壊して、別の事に利用(活用)する

 以降、順を追って説明していく。

 まずは、①の「そのままにしておく(空き家となる))だ。

 事前に「実家問題」について何も準備していない場合は、この選択肢を一時的にでもとらざるをえない。つまり、即、実家は空き家になるということだ。

 建物が古くなって誰も使わないからといっても、取り壊すためには解体費用がかかる。建物の構造によるが、土地が30坪くらいの住宅で、少なく見積もっても100万円は超えるだろう。

 想像してみてほしい。ただでさえ葬式や遺品整理、相続などで目が回るほどの忙しさが落ち着いた途端に、予期せぬ解体費用100万円を超える出費と聞いて、どのような気持ちになるだろうか。

 空き家といっても放置するわけにもいかない。しかし、実際には日本全国で空き家は増え続けている(図3参照)。平成26年7月末に発表された速報値では、平成25年の空き家率は全国で13.5%、819万戸にも上っている。その理由の一つは、解体して更地にするという選択肢を選べば、一気に税の減免が使えなくなり固定資産税が増えるからだ。

 実家をどうするか結論が出るまで、数ヵ月おきに状況を確認したり、場合によっては維持管理のために修理も必要になる。この労力と費用はバカにならない。しかし、維持管理をしないと老朽化がさらに進み、周囲に迷惑をかけることになりかねない。

 定期的に見に行くことが面倒なら、管理業者に維持管理を頼むことになるが、ここでも当然ながら費用が発生する。最近では、各地の空き家を管理するNPO法人が誕生している。たとえば、NPO法人空家・空地管理センター、などがそうだ。それらの利用も検討してもいいだろう。

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吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]


早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。船井総合研究所上席コンサルタント・Real Estateビジネスチーム責任者を経て、現在、ディー・サイン不動産研究所所長に就任。不動産関連企業・ハウスメーカー・設備関連メーカーなどを中心にコンサルティングを行う傍ら、不動産エコノミストとしてデータ分析、一般・投資家・企業向けの講演を多数行う。著書に『2020年の住宅・不動産市場』(朝日新聞出版)『「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人』(青春出版社)など9冊。連載はダイヤモンド・オンラインをはじめ、各種媒体に月間6本を担当。オフィシャルサイト&ブログ http://yoshizakiseiji.com/blog/

 


吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」

40代後半になると、多くの人にとって子どもが数年後に独立を向かえ、自分の親は70代後半にさしかかる。子どもの就職や親の介護、病気などの新たな心配が増える時期になる。働き盛りで仕事は忙しいが、プライベートも忙しくなることが多いのではないだろうか。そんなときに、子どもが生まれて間もない頃に、子育て環境を最優先に買った郊外の住宅は最適だと言えるのだろうか。昔買った住宅に一生住み続けなければならない、ということはない。スマートに、家族構成や仕事の状況に合わせて住み替えるという発想を持ってもいいはずだ。当連載では、住み替えるためのさまざまな例を紹介し、40代後半からの住まいについて考える。

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