創続総合研究所
吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」
【第6回】 2014年9月9日
著者・コラム紹介 バックナンバー
吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]

売却か賃貸か、どうする「実家問題」
“争続”を避け賢く引き継ぐ方法を考える

売却の際に揉めることも多い
生前に権利関係の確認を

 次に、「②実家を売却する」。

 まずは売れる物件かどうかの問題がある。都市部や地方主要都市ならば買い手がつくだろうが、地方の郊外や過疎地などはそう簡単ではない。地方都市の地価は下げ止まる様相になく、先に挙げたような過疎化が進む県では、バブル前どころか1980年代初頭よりも地価が下がっている所もある。

 よく聞く話だが、兄弟間で実家に対しての思い入れが異なり、売る/売らないで揉めることも多い。仮に売却できたとしても、その売却で得たカネをどう分けるかでも、揉めることがある。

 厄介なのは、敷地や建物の権利関係において、子どもが詳しく知らない、あるいは聞いていないということだろう。「実家の土地の一部は親類が所有しており借地だった」ということが、売却の段階で判明したという例もある。

 両親が存命中に、登記を取り寄せて土地と建物の権利関係を、両親と共に確認しておけば、こうした問題は防ぐことができる。その上で、権利と債務をはっきりさせて、誰が相続するかを決めておくことが必要だ。心配ならば、信託銀行や不動産会社などに相談するとよいだろう。

 続いて、「③実家の建物を活かして、他人(個人・法人)に貸す」という選択肢だ。

 ここで紹介したいのは、使わなくなった住まいを別の人に貸すという選択肢を推進している、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)だ。同法人がサポートしている「マイホーム借上げ制度」には、「シニアの皆さま(50歳以上)のマイホームを最長で終身にわたって借上げて転貸し、安定した賃料収入を保証するものです」(同法人ホームページから引用)とある。詳しくは、JTIのホームページにあるが、「実家問題」の解決に、大きな役割を果たしそうだ。

 また、日本各地で、空き家を再生し、利用希望者とつなぐNPOが誕生し活動を始めている。たとえば、NPO法人尾道空き家再生プロジェクト。こうしたNPOではリノベーションしてデイケア施設として賃貸したり、地方主要都市部の大きな家では、シェアハウスとして再生したりといった例が生まれている。

創続総合研究所 特集TOPに戻る

SPECIAL TOPICS

 

吉崎誠二 [ディー・サイン不動産研究所所長、不動産エコノミスト]


早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。立教大学博士前期課程修了。船井総合研究所上席コンサルタント・Real Estateビジネスチーム責任者を経て、現在、ディー・サイン不動産研究所所長に就任。不動産関連企業・ハウスメーカー・設備関連メーカーなどを中心にコンサルティングを行う傍ら、不動産エコノミストとしてデータ分析、一般・投資家・企業向けの講演を多数行う。著書に『2020年の住宅・不動産市場』(朝日新聞出版)『「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人』(青春出版社)など9冊。連載はダイヤモンド・オンラインをはじめ、各種媒体に月間6本を担当。オフィシャルサイト&ブログ http://yoshizakiseiji.com/blog/

 


吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」

40代後半になると、多くの人にとって子どもが数年後に独立を向かえ、自分の親は70代後半にさしかかる。子どもの就職や親の介護、病気などの新たな心配が増える時期になる。働き盛りで仕事は忙しいが、プライベートも忙しくなることが多いのではないだろうか。そんなときに、子どもが生まれて間もない頃に、子育て環境を最優先に買った郊外の住宅は最適だと言えるのだろうか。昔買った住宅に一生住み続けなければならない、ということはない。スマートに、家族構成や仕事の状況に合わせて住み替えるという発想を持ってもいいはずだ。当連載では、住み替えるためのさまざまな例を紹介し、40代後半からの住まいについて考える。

「吉崎誠二の「どうする? これからの住まい」」

⇒バックナンバー一覧