複数のアプローチを考えることが
「あきらめない力」を育てる

長谷川 最後に、皆さんに聞いているのですが、日本の教育についてどう思いますか。

紫舟 現在の教育では、答えを導く過程は一つしか認めないことが多いですよね。この公式を使わないといけない、まだ学習していない方法論を使ってはいけないなどのルールがあって、それを守らないと間違いになります。この考えを改め、多様な過程を認めていただきたいと思います。

 例えば小学校の算数のテストで、自力で導いた答えが認められなかったことがあったんです。答えは正しいのに。当時ははしかで長期間学校を休んでいたため、授業で教えるやり方ではなく自分のやり方で答えを出したのですが、間違いになったんです。

 しかし現実社会は、1つの目標を達成する過程が1つだけということはありえないわけです。常に複数のアプローチを考える必要があり、1つのアプローチが失敗したらあきらめるのではなく、次の方法、さらにまた次の方法を考えなければいけません。子どもに複数のアプローチを考えさせ、目標達成のために粘り強く考えさせれば、夢をあきらめない力、実現できる力を育て、ひいては人生を生き抜く力を育てると思います。

長谷川 複数のアプローチを考えさせることであきらめない心を養うというのは、今の社会に即した方法ですね。示唆に富んだお話をありがとうございました。

(『気になるあの人の才能の磨き方』は今回で最終回です。ご愛読いただき誠にありがとうございました)