長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉
【第6回】 2014年9月11日 樋口直哉 [小説家・料理人]

ガンジーの菜食主義に見る必要最低限の食生活

 菜食主義には動物性食品を完全に断つものから卵ならOKといったものまで、さまざまな定義があるが、牛乳は大丈夫という考えだったようである。もし、あなたが厳しい菜食主義生活を送りたいのなら栄養学的な帳尻を合わせる必要がある。菜食生活で一般的に不足しがちな栄養価として挙げられるのは必須アミノ酸、ビタミンB12、ビタミンD、鉄分などだ。これらの栄養素は鉄分を除けばすべて牛乳に含まれているので、ガンジーはそれで栄養を補っていたと考えられる。

 また、栄養バランスを整える最も簡単な解決策は豆類と米というような第三世界的な組み合わせの料理を選択することだ。豆は必須アミノ酸が含まれ、鉄分、カリウム、カルシウム、食物繊維なども効率的に取れる食品で、インド料理では広く使われている。

 現代の日本人の食生活において、豆は摂取をもっと増やしたい食品だ。厚生労働省は1日100g以上の豆の摂取を勧めているが、平均摂取量にすると半分ほどしか達成できていない。主義にかかわらず我々は日常の食事のなかにもっと豆を取り入れるべきなのだ。

 ガンジーはイギリスで学んだが、西洋文明には否定的な見解を持っていた。広く知られている写真に彼が手巻きの機械で糸を紡ぐ姿を写したものがあるが、これは工業機械の導入によって雇用が奪われることに反対するためのポーズだったという説もある。これまでの日本は食生活をはじめ様々なところで欧米化を推し進めてきたわけだが、今の状況を顧みるにガンジーの思想から学べることは多いのかもしれない。

※参考文献/『ガンジー自伝』マハトマ・ガンジー著、蝋山芳郎訳

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樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉

1日でも長く生きたい――。きっと多くの人が望むことだろう。では、実際に長生きをした人たちは何を食べてきたのか。それを知ることは、私たちが長く健康に生きるためのヒントになるはずだ。この連載では、歴史に名を残す長寿の人々の食事を紹介。「長寿の食卓」から、長寿の秘訣を探る。

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