階層の壁──資本家、経営者、従業員で年収が変わる

 まず、代表的な年収の壁のひとつが「階層の壁」です。

 日本企業に勤めているサラリーマンで、年収2000万円をもらっている人は全国にどの程度いるでしょうか?

 役員ではない一般の社員で、年収2000万円をもらっている人は、おそらくほとんどいないですよね。総合商社や大手金融機関などのごく一部の人くらいでしょう。全国で働くサラリーマンの総人口で割ったら、本当に一握りの人たちしかいないことがよくわかります。

 一方、年収が2000万円以上あるオーナー経営者はどのくらいいるでしょうか? ごく身近なところにある中小企業の経営者や、街の至るところにあるビルのオーナーなども、そのくらいの年収があってもおかしくありません。

 よく考えると変ですよね。超人気企業の役員にまで上りつめるのと、どこにでもある中小企業を経営するのとではどちらがたいへんか? 比較はできないことでしょうが、それでも違和感を覚える方も多いと思います。

 会社における階層を大別すると、「資本家」「経営者」「従業員」の3つがあります。シンプルに言えば、従業員を雇って会社を運営するのが経営者、その経営者を高い年収で雇って会社全体から挙がる大きなリターンを得ているのが資本家という構造です。年収500万円の従業員を年収5000万円の経営者が雇い、その経営者を年収5億円の資本家が雇うなどとも言われます。

従業員側から経営者・資本家側に移って、年収アップを実現する

 このように整理すると、従業員側でがんばることと、壁を越えて資本家や経営者側でがんばることは、年収面において決定的に違うということを理解いただけるかと思います。

 従業員側で年収アップを目指す時、あなたが誰もがうらやむような花形社員でない限り、その中のし烈な競争を勝ち抜くことは困難を極めるでしょう。それよりも、階層の壁を越えて資本家や経営者側に移ってしまうほうが、ずっと現実的に年収をアップさせることが可能です。

「そんなこと言ったって、自分は二世経営者でもないし、ビルも持っていないんだから、どうしようもない」と言う方がいるかもしれませんが、そのような方でも方法はあります。その代表的な方法のひとつは、自分で起業することです。自己資金でスタートした起業家は、オーナー経営者です。たくさん生まれた利益から3000万円くらいを自分の年収にしても、誰からも何も言われません。