経営 × オフィス

「同じ釜の飯を食べる」と社員の絆が深まる? 
古くて新しい福利厚生が若手社員にウケる理由

大来 俊
【第300回】 2014年9月18日
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食事を共にすることの科学的根拠もちゃんとある
あなどれない脳内ホルモン“オキシトシン”の効果

  東京都町田市で米事業を展開する「いちかわライスビジネス」では、企業の福利厚生として、同じ釜の飯を食べ社員のコミュニケーション活性化を促進する新サービス「ONAKAMA(おなかま)――同じ釜の飯を食って仲間になろう。」の提供を開始した。

 同社が全国の契約農家から取り寄せた厳選米を、旨みや栄養価が豊富な「亜糊粉層」を残して精米したブレンド米「アクトライス」をオフィスに定期的に届ける。10月末までキャンペーンを実施中で、期間中に契約した会社の中から抽選で10社に炊飯器・しゃもじ・お椀セットを進呈するという(詳細はアクトライス公式サイトONAKAMAページへ)。

 同社の市川晴久専務は、「昔から、人間は同じ行動をしたり、同じものを食べることによって連帯感が生まれると言われている。オフィスの人間関係をより円滑にするために自分たちの米が役立てば」と話す。

 同じ町田市の美容院「エレメントブラン」は、アクトライスを購入して、従業員皆でご飯を炊き、昼食を食べる試みを行っている。「従業員は子どもがいたり、一人暮らしだったり生活スタイルはバラバラ。一緒に食事や飲みに行くことは難しい。コミュニケーションを深める方法を考えた時に、同じ釜の飯を食べることを思いついた」。オーナーの小川正孝さんは、こう話す。

美容室でも同じ釜の飯制度を実践し、コミュニケーションを深める一助に

 小川さんは学生時代に柔道部に所属し、合宿で同じ釜の飯を食べて部員同士が胸襟を開いていった経験を持つ。美容院でも同じ炊飯器の白飯を食べ、何気ない会話を交わすことで、従業員同士の連帯感が生まれているようだ。

 実は同じ釜の飯を食べると連帯感が生まれることには、科学的な根拠があることもわかってきた。キーワードは「オキシトシン」。脳内に分泌されるホルモンで、不安時に出るホルモン「コルチゾール」の発生を抑制し、信頼関係を強める効果があるという。最近の研究から、友人や同僚が一緒に食事をし、話すなどしてその場で良好な関係になっていくと、オキシトシンの分泌が増える傾向があることが判明したそうだ。

 同じ釜の飯を食べるという日本古来の習慣が、現代のオフィスや店舗で復活している現象は興味深い。デジタルコミュニケーションが進む中、その反動でリアルな接触を求める若者世代を中心に広まっていきそうな気配だ。

(大来俊/5時から作家塾(R)

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