Photo by Kenrei Takeuchi
増税後の消費動向について私のところに入ってくる情報は、買い控えの影響が「あり」、と「なし」の真っ二つに分かれてしまっている。なぜこうした2極化が起こっているのかを、大胆に推測してみたい。そこから出てくる結論は買い控えのせいにしていては、経営が危ういということだ。
好景気、不景気。果たしてどっち?
「増税後の景気はどうですか?」
取引先からその質問を振られると、言葉に窮してしまう。なぜならば、私のところに入ってくる情報が、真っ二つに分かれてしまっているからである。
「買い控えの影響は、ほとんどない」
「なかなか買い控えから、脱却できない」
同じ日本で、同じように商売しているのにもかかわらず、状況がバラバラなのだ。
テレビや新聞の情報では、ゆるやかに増税の反動から回復していると言われているが、私の取引先では、まだまだ買い控えに悪戦苦闘している企業が多々ある。
正直、今の日本が好景気なのか不景気なのか、まったく分からないというのが、私の率直な感想である。
大手企業の夏の賞与の伸び率が、バブル期以来の高水準と発表したかと思えば、4月~9月の国内総生産(GDP)が前期比7.1%に下方修正された。また、スーパーや百貨店の売上が好調というが、家具や自動車等の耐久消費財は、いまだに売上の回復の兆しが見えてこない。
いったい、増税後の日本の景気はどうなっているのか――消費税増税後の市況を追いながら、考察してみることにした。
2つの特別な現象が起きている
まず、流通専門紙「日経MJ」の、増税後の新聞記事を全て追いかけてみた。
結論としては、全体的に「消費税増税後の反動は少ない」という論調が多かった。
経済産業省がまとめた5月の商業販売統計によると、5月は4月に比べて減少幅が縮小。高額商品は増税の反動が残るものの、飲食料品は2.3%増、繊維、衣料、身の回り品は2.5%増と、すでに回復の兆しをみせていた。