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山崎元のマネー経済の歩き方

老後のお金と生活設計の考え方

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第116回】 2010年2月15日
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 「退職後の備えとしていったいいくら必要ですか?」という質問を受けることが、ここのところ何度かあったのだが、具体的に答えるとなると、なかなか難しい。

 よくあるアプローチはまず「どんな老後にしたいですか?」と聞いて、その答えを基に毎年のおカネの出入りを記入した「キャッシュフロー表」を作成するものだ。

 キャッシュフロー表を作って、おカネの出入りを具体的に考えてみること自体は悪くない。ただ、いくつか注意点がある。

 まず、「どんな老後にしたいか」を先に決めようとすると、どうしても必要な金額がふくらみやすくなる。夢を意識し理想を追うことも大事だが、問題解決の方向は「可能なおカネの範囲の中でどう老後を送るか」のほうが現実的ではないだろうか。この際に、「将来必要な金額」とそれに必要な「運用利回り」が先に決まって、将来想定する「ライフイベント」のために高めの運用利回りを想定し過剰なリスクを取ることが心配だ。これは、「将来のインフレリスクへの対応のため」とともに金融商品の販売側が顧客を、リスク資産を使った運用(つまり売り手から見て手数料を高く取れる運用)に駆り立てる際によく使う誘導経路だ。

 キャッシュフロー表にはリスクを反映させることが難しい点も、過剰なリスクが心配になる原因の一つだ。

 それに、何年も先の将来の収入をはじめとする諸々の金額を正確に予測することはきわめて難しい。

 一方、経済学の世界に目を転じると、人は消費水準を決定するに当たって、将来予想される所得流列を適当な割引率で割り引いた「恒常所得」に基づいて、消費行動を決定するという理論があり、実証的にもそれなりに支持されているようだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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