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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

女子や派遣を食い物にする「使えないオジサン」たち
仕事の中心と組織図の中心がズレまくる職場の病理

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第10回】 2014年10月1日
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部長や課長が現場を仕切れず
入社数年目の女子を中心に回る職場

 1年ほど前、日本のある大手企業の人事でお話をうかがったときのことだ。その企業では、社内イントラネットで「社内SNS」を立ち上げ、実験的に一部の社員に使ってもらったそうだ。そのときに、面白いことがわかったという。

 SNSで中心人物になっている人は、部長でも課長でもなく、入社数年目の一般女子社員だった。ここでいう「中心」とは、最も多くのメンバーからアクセスされ、また本人もアクセスしているという意味だ。そしてそういう人物は、社内情報に詳しい。特に社員同士の人間関係などについて、よく知っている。

 それだけではない。その部署では彼女を中心に仕事が回っていた。入社時からそこに配属されていた彼女は、現場のノウハウを全て吸収し、異動により新しく配属された社員には、課長だろうが派遣社員だろうが、仕事を教える立場だった。

 もともと人あたりが良く、教えるのもうまいので、自然と彼女は皆から頼られ、慕われる存在となっていた。SNSで中心となるのもうなずける話しだ。

 本来、組織図の中で「中心」となる人物は、そのセクションの長であるべきだ。課長や部長が仕事の中心となり、仕切るべきである。だが、現実にはそうなっていない組織は多い。いや、そんな組織のほうが多いだろう。

 こんな例もある。ある金融系大手企業では、人事部の課長、部長の職は、社内で出世するために必ず通らなくてはならないポジションとしている。基本的には全ての社員は3~4年に一度異動させるが、将来幹部候補として見込みのある社員は人事部の役職に就く。

 当然、そうなると人事のことを一切知らない課長や部長も出てくる。その面倒を見るのが、部下の仕事となる。その部下の中で最も仕事のできる一般社員が、実は「仕事の中心」になる。仕事を一生懸命覚えようする課長や部長もいるが、中には「数年我慢すれば役員だ」と思って、全てを部下に丸投げし、やり過ごそうとした部長もいた。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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