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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

香港「占中」の“北への波及”を恐れる中国政府
強硬姿勢は真の民主主義と自らの退路をも潰す

加藤嘉一
【第36回】 2014年10月7日
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依然として続く“反中”デモ
引き金は“8.31決定”

 香港が荒れている、ように見える。

 9月28日以来、中国の国慶節(10月1日)を挟んで、香港の中心部で“反中デモ”が続いている。

 8月31日、北京の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、2017年に行なわれる香港のトップ・行政長官を決める選挙に関する方案を発表した。業界団体などから選出された1200人からなる「指名委員会」が2~3人の候補者を選出し、そこに対して香港市民が一人一票に基づいて投票するという枠組みだ。

 “反中・反共”的な人物を事実上排除しようとする“普通選挙”に対して、香港の民主派たちは「そんなのは“偽りの民主主義”だ」と反発。同日夜、全人代の下した決定に反発する民主派リーダーらは行政長官官邸前の公園でデモを行い、これに3000人が参加した。翌日の9月1日、全人代常務委員会の李飛副秘書長が香港で説明会を開いたが、ここでも香港の民主派議員約20人が北京の決定に対する抗議活動を展開した。

 「“公正な普通選挙”(北京政府の政治的干渉を受けず、香港市民自ら候補者を選ぶ選挙/筆者注)が実行されない場合は“占中”計画を実行に移す」と公言していた香港の民主派は、8月31日の“決定”を受けて、1年以上かけて準備してきた“占中”計画(Occupy Central)を実行すべく本格的な準備を始めるようになる。

 今回の“反中デモ”はこうして実行に移された。直接的な引き金は、北京の中央政府が下した“8・31決定”に他ならない。香港の民主派リーダーたちは、(1)梁振英行政長官の辞任、(2)“8・31決定”の撤回を北京・香港政府に対して要求している。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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