“数値を計算させるだけでよくなった”――この言葉を覚えておこう。かつて、もっとクリエイティブな分野だった広告やマーケティングには、大きなリスクが伴っていた。しかし、新たな世代の製造企業は、フィックスを求める顧客の目的が何であるのかを推測する必要はない――それは、もう「わかっている」のだ。

プレイヤーの脳をもてあそぶ「レシピ」とその開発競争

 今日のゲームは、ありあまる報酬システムを提供しており、そのいずれもが、それぞれ少しずつ異なるやり方でプレイヤーの脳をもてあそぶ。その例の1つが、ゲーム内でのステータスを上げる「レベルアップ」。これはいわば、21世紀版のゲームスコアだ。もっとも高い報酬を手にできるのは、もっとも長い時間プレイしたプレイヤー。たとえば、他のプレイヤーより進化した武器を購入するチャンスなどが与えられる。“レベル”を他のユーザーに見せびらかすのは、うっとりするような体験だ。プレイヤーはゲーム内での社会的地位を気にして、スコアを上げるために、いっそう多くの時間をゲームに費やすようになる。

 では、女性をゲームに病みつきにさせるにはどうすればいいだろう? ゲーム企業はこの点について多くの研究を行い、女性は見知らぬ人と出会えて、しかもチャットができるような環境でプレイするソーシャルゲームを好むという事実を立証した。ファームビルやオンラインの言葉遊びゲーム「ワーズ・ウィズ・フレンズ」は、こうした男女差を念頭に置いて製作されている。1日の大部分を家事や子育てに費やして過ごす主婦は、他の大人とのやりとりに飢えていることが多い。彼女たちが感じている退屈さは、ゲーム企業が徹底的に利用できる特別な性質をそなえているのだ。