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「引きこもり」するオトナたち

初めて引きこもり「ユースト対談」に参加
当事者らとの“対話”で見えてきたネット中継の意義

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第217回】 2014年10月16日
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 初めて「ユーストリーム」というネット中継に対談の形で出演した。

 対談相手は、「引きこもり」や「多重人格」の当事者でもある伊藤美鳥さん(以下、美鳥さん)。様々な症状との闘病生活をブログ「うたとことり」で自己開示し、最近、講演活動も始めた。

 美鳥さんはふだん、「Mitorix TV」というユーストの番組を持ち、すでに16回にわたって1人で中継を行っている。

 今回は、美鳥さんの呼びかけで、当日の数時間前、急に出演が決まった。

 筆者は「ユーストをやりましょう」と言われて、「いいですよ」と引き受けたものの、正直言って、ユーストのことを知らなかった。

 しかも、「ツイキャスやります」と、筆者がツイッターなどで直前に告知したら、後で当事者から「ツイキャスじゃないですよ」と叱られた。実は、その違いもよく理解できていなかった。

 以前、ニコニコ動画への出演をたびたび依頼され、ネットに出るのが嫌で、断り続けたことがあった。しかし、番組担当者に説得されて、2度にわたり、イヤイヤ出演した。

 ところが実は、その後、筆者が全国へ講演に行くと、会場で当事者に声をかけられ、「ニコニコ動画を見ました」と言われたことが何度もあった。

 「ふだんは、どうされているんですか?」と聞くと、「ずっと引きこもってました。今日は、ここに来るのが怖かったけど、勇気を出して会いに来たんです」などと言われ、じんとくることもある。

 以来、ネット中継は、当事者とつながる有効なツールなのだと知った。

約束は「ドタキャンあり」ならできる
引きこもり当事者の独特なペース

 さて、今回の中継の目的は、筆者も司会を務めた9月27日に行われた美鳥さんの講演会「二度目の人生の歩み方~家族ができること~」での、会場からの感想や振り返りを共有することだ。

 しかし、内容はほとんど脱線しまくりで、気づいたときには2時間以上経っていた。

 長く引きこもっていた人ほど、いきなり就労の場へとつながれたり、就労のためのトレーニングを強要されたりするのは難しい。まず、安心できる居場所のような所があって、適度な放っとかれ感があったほうがいいなどと筆者が話を振ると、美鳥さんは、こう話し始めた。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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