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元銀行マンの准教授が語る 「腹に落ちる」環境学

「事業仕分け」の多くが目先の議論に終始する中、毛利さんの言葉が「腹に落ちた」ワケ

――ソーシャルビジネスの本質から、事業仕分けを考えてみる

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第6回】 2009年12月1日
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 いま、何かと注目されている“事業仕分け”ですが、「事業仕分けって、一体どんなもんだろうか?」、そんな好奇心から、先日ネットでライブ中継を見てみました。

 個人的には、銀行員時代に金融庁検査で検査官から詰められた記憶がよみがえってくるなど、色々な意味で興味深いものでした。私なりに、あえてこの“事業仕分け”を一言で表現するならば、いい意味でも、悪い意味でも「担任教師不在の学級会」のように思えました。

 担任教師不在の学級会の利点は、

(1)生徒同士、自由な意見交換が出来ること
(2)生徒間で、役割分担が生まれること
(3)本音で話し合うことで、問題の本質が浮き彫りになること
(4)1時間という時間的制約の使い方を学べること
(5)何よりも、自分たちで決めたことに、責任が持てること

といったところでしょうか。

 しかし、この利点は、難点の裏返しでもあります。

(1)全体像を理解しないまま話し合うと、手段が目的化してしまうこと
(2)役割分担が出来ないと、建設的な議論にならないこと
(3)(1)(2)の結果、問題の本質がすり替わること
(4)十分な議論なく、結論を急いでしまうこと
(5)このような過程で導き出された結論には責任が持てず、担任教師の一言で結論が変わっても構わないと思ってしまうこと

 また、生徒同士の話だと、目先の短絡的な議論に終始しがちで、どうしても視野の狭いものになってしまいます。

多くの事業仕分けが
「腹に落ちない」ワケ

 私が銀行員時代に経験した金融庁検査では、査定のボーダーラインにいる企業の説明準備には、相当な時間と労力をかけました。銀行側からすれば、査定されれば引当コストが発生しますし、企業側からしても借入金利の引き上げに繋がることから、可能な限りの資料、データを揃えたものです。当然のことながら、まず自分の「腹に落ちる」、納得いく説明が出来なければ、検査官に理解してもらうことは出来ないのです。

 今回の事業仕分けでは、日本科学未来館の館長の立場で元宇宙飛行士の毛利衛さんも説明者として発言をされていました。ニュース等でご覧になられた方も多いと思いますが、私は毛利さんの発言に、館長という立場を超えた、“強い意思”と“責任感”を感じました。

 仕分け後のインタビューで毛利さんは、事業仕分けに出席した理由を、「宇宙から地球を見た者として、科学技術は地球温暖化の問題を解決するために存在することを強く感じたこと」や、「日本科学未来館は、“将来の問題を解決するための科学館”という新しいコンセプトで世界の科学館のイノベーションを起こしていること」を自らの言葉で説明する必要性を感じたからだと、答えていました。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


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ちまたにあふれる環境ニュースやキーワードの数々。近年のエコブームで「地球にやさしい」というところで思考停止してしまい、その本質を理解できていない人は意外と多い。当連載では、国やメディアに先導されたままの環境キーワードを取り上げ、「論理」と「感性」の両方を満たす、真の環境リテラシーについて考える。

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