「プレッシャーで人は成長する」は本当か?→宇宙飛行士・野口聡一氏の答えが正論すぎて、ぐうの音も出なかったPhoto:Bill Ingalls/NASA / Handout /gettyimages

日本人宇宙飛行士として数々の記録を打ち立ててきた野口聡一さんだが、2010年に2回目のフライトから戻った後、燃え尽きの状態を経験したという。その時に考えていた「プレッシャーと成長の関係」について、キャスター・大江麻理子さんと語る。※本稿は、野口聡一・大江麻理子『自分の弱さを知る 宇宙で見えたこと、地上で見えたこと』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

プレッシャーは
本当に必要なのか?

野口:燃え尽きの話で1つの課題となるのが、プレッシャーです。競争社会の中で、人はいいプレッシャーを感じて成長するものだという成長神話が僕たちの中にあって、それがずっと存在していると感じます。たとえば、わかりやすい例として少年野球や高校野球があります。

 あの苦しい練習を耐えたから勝利に意味があるとか、あのプレッシャーを切り抜けたからこそ成長できたのだとか、そういう価値観が根強く残っています。年長者の方は、今は大変かもしれないけれど、この難所を切り抜ければもう1段上に行けるから頑張れと声をかけます。僕自身、日本で育ってきた中でこのような場面を多く経験してきました。多くの人が経験することとしては、受験勉強もそうでしょう。

「ここを乗り切れば」「この1年頑張れば」成長できる、あるいは会社であれば「このプロジェクトが終わるまでは」「課長になるまでは」「部長になるまでは」一心不乱に頑張ろうという風潮が根強く残っています。