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下村博文 文部科学大臣インタビュー【後編】
教育は、未来への「有効な先行投資」だ
少子高齢化時代を切り拓く、教育のイノベーション

ダイヤモンド・オンライン編集部
2014年10月28日
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前回に続き、下村文科大臣インタビューの【後編】。前編では、現在進行中の教育改革の本丸と言える「大学入試制度改革」の意図や具体的施策について話を聞いた。そして今回の後編では、改革を支えるために不可欠な「教育財源」や、管轄下の組織で起こった「STAP問題」についても聞く。

少子化高齢化で社会保障費が増大するなか、教育財源をどう確保し、教育立国を実現しようとしているのか。教育にイノベーションを起こすためには、日本の社会はどう変わらなければいけないのか。
(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 原 英次郎)

少子高齢化のなか、
どうやって教育財源を確保するか?

下村博文(しもむら・はくぶん)
文部科学大臣/教育再生担当大臣/オリンピック・パラリンピック担当大臣。1954年、群馬県生まれ。早稲田大学教育学部卒。東京都都議会議員を経て、1996年衆議院議員に初当選。現在、当選6回。2012年12月の第2次安倍内閣発足時より現職。9歳の時、父の交通事故死により生活苦となり、高校・大学を奨学金で卒業。その経験から、遺児を支援する「あしなが育英会」の副会長を務めたことも。また、大学在学中に開校した学習塾「博文学院」を生徒数2000名超の進学塾に成長させた実績を持つ。著書に『9歳で突然父を亡くし新聞配達少年から文科大臣に』(海竜社)、『下村博文の教育立国論』(河出書房新社)などがある。

――センター試験を廃止し多様な入試を取り入れることで、教育現場が大きく変わる可能性を秘めていることはよく理解できました。しかし、制度を変えるだけではなく、そこにはやはり投資、つまり「財源」も必要です。しかし現在、OECD加盟国のなかで、日本の公財政教育支出(GDPに対する教育投資額)は世界最低レベル。教育にお金をかけてこなかった国が、巨額の財政赤字を抱え、すでに到来している超高齢化社会のなかで、子どもたちにどう資源配分していくのか。具体的な教育財源確保の秘策はあるのでしょうか。

下村 実は今年の6月、「OECD非公式教育大臣会合」っていうのが日本で開かれたんです。まあ、非公式な会合ですから、メディアに取り上げられることは少なかったのですが、約15ヵ国の教育大臣が集まりまして、「教員の能力開発」をテーマに議論をしました。そのセッションの1つで私が司会を担当したのですが、そこで私は「教育における財政支出をどう高めるか」ということで問題提起をしてみたんです。

 すると、北欧諸国の大臣たちが続けて、「そんなの簡単な話じゃないか」と言うんです。そしてさらにこう言いました。「うちは消費税が25%、だから大学まで無料だ。日本はまだ8%。消費税を上げればいい。そうすれば学費は無料にできる。すぐやればいいじゃないか」と。なので、私はすぐに「そう簡単じゃない、日本は。消費税を上げるのに政権交代もあるようなこの国で、そんなに簡単にはいかない」と言いました。

 でも、彼らの意見が核心をついていたのは明らかです。私も改めてそのとおりだと思いました。現実に鑑みれば、やはり新たな財源は国民に求めるしかないと思います。ただし、それは消費税だけに限らず、所得税制や資産税制を含めた税制改正や、いわゆる出世払いの「所得連動返還型奨学金」といったものまで考えられます。これら財源の方向性についての議論は、有識者を集めて文科省のなかでやってきましたが、今後は官邸主宰の「教育再生実行会議」でも議論を始めます。なぜなら、教育というのは「未来に対する投資」だからです。その財源については政府が責任を持って方向づけをし、国民の理解を得ながら決めていかなければなりません。

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