さて、今回は、日本の公的年金の運用をどうしたらいいかについてもう少し考えてみたい。ただし、運用も含めて、公的年金の運営については、厚生労働省から独立した検討と業務遂行のチェックが必要なことを強調しておきたい。公的年金の積立金は巨額であり、最終的に国が年金給付の責任を負う仕組みから考えても、運用の成否は共に、国家財政全体にも大きく影響する。

 年金運用のあり方について考える場は、厚生労働省から独立した検討事務局の下に設置されるべきだ。また、年金の運用だけでなく、運営全体について、外部の監査を導入する必要がある。たとえば、年金財政の再計算その他の検証についても、現状では、会計監査のない決算報告書のようなもので、前提条件とデータ及び計算が信用できるものなのか、国民には不安がある。

 厚生労働省関係にも真面目な方はいらっしゃるだろうから、批判ばかりするのは気が引けるが、何せ、年金記録さえ適切に管理して来なかった組織なのだ。

「間接運用」としての
公的年金積立金

 GPIFで運用されている年金の積立金は、将来の年金給付の原資になるという意味で厚生年金や国民年金の加入者のものだとも言えるが、運用が上手く行くと将来の国の財政負担が減り、運用が不出来の場合は国が補填しなければならないという意味では、納税者一般としての国民の財産だ。どの程度誰に帰属するのかは難しい問題だが、国民一般から見ると、自分の財産の一部を国に預けて運用して貰っているというのが、公的年金運用の一つの本質だ。

 次に、一国民の立場で自分の財産の運用を考えると、国に運用して貰っている(同時に自分でリスクを負担させられている)部分と、自分で運用している部分との、あくまでも「合計」が問題になる。