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美人のもと

美人のいる鍋はおいしい

西村ヤスロウ [広告プランナー]
【第16回】 2008年12月5日
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*鍋

 寒くなってくると鍋物が恋しくなる。何人かでひとつの鍋をつつくのは幸せだ。仲良しだ。お腹も心も温かくなる。麺やご飯を入れて「しめる」時はこの上もなく幸せをいただける。

 基本的に鍋料理はいろんなものを1つの器に放り込む。ここで生まれる様々な食材のハーモニーがいろんなおいしさをつくってくれる。いろんな味覚と次々出会えるすばらしいものだ。

 さて、問題はこの放り込む作業だ。鍋奉行がいれば、奉行に任せておけばいいのだが、奉行はそんなにいないから奉行だ。

 したがって、たいていは平民が鍋を扱うことになる。平民の投入作業にはいろいろ作法があるようだ。本当に投げるようにする人もいれば、意味なくかき混ぜて顰蹙をかう人もいる。道具を必要以上に使い分ける人も現れたり、気づけば菜箸で食べていたりする人も出たりする。

 お店のあちこちで鍋物が食べられている時、少し見回すだけで、同じメニューなのに、その見え方がずいぶん違うことに気づく。

 美人のいる鍋は見ていて美しい。そしておいしい。

 それは鍋にも美意識を持って接するからである。具材の位置を定める。肉ゾーンや白菜ゾーンなど、どこに何があるのかがすぐわかる。静かに入れるため、「ドボン」という音がしたり、ハネがあがったりしないで、美しさが保たれる。投入というより設置。ゾーンをきれいにつくるので、真ん中に具材が集まったりしない。ソーンごとの設置タイミングをしっかり見守っている。

 自分が食べるものではなく、鍋全体を見て、ゾーンの減り具合をきちんと読んでいる。少しずつ火のコントロールもしている。長時間煮込んでしまいビタミン崩壊の野菜が出てきたりしない。常に鍋を美しく保つことを意識している。

 そういった他人への気遣いがあるために、自分が食べる食材のバランスもよくなっていく。「肉ばかり食べてしまったため、最後の雑炊が食べられなかった」などと嘆くこともない。どれを先に入れたのかわからなくなり、口の中に入れたら「冷たい」ものを食べてしまうこともない。

 鍋奉行のようにうるさく仕切る必要はない。しかし、鍋を美しく保つ意識を持っていれば、おいしく健康な鍋物と出会える。そもそも鍋物は肌にいい。おいしく美しくなろう。

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西村ヤスロウ [広告プランナー]

1962年生まれ。プランナー。趣味は人間観察。著書に『Are You Yellow Monkey?』『しぐさの解読 彼女はなぜフグになるのか』などがある。


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『経』に好評連載中の西村ヤスロウ氏によるエッセイ。「美人のもと」とは、女性なら誰しも持っているもの、「美人のもと」を磨き続けるためのコツを解き明かす。

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