海外旅行や出張の際、長時間のフライトはとかく退屈になりがちだ。しかし、実は今、機内で提供される酒は充実してきており、特にJALの機内では、入手困難な“幻の日本酒”が並ぶ。
長時間、飛行機に乗るときの楽しみといえば飲酒だろう。中でも、一般のサラリーマンはなかなか乗ることのできない、ファーストクラス、ビジネスクラスでは、極上の酒が提供されている。しかもどれも飲み放題だ。
特に日本航空(JAL)の国際線の機内では、日本酒ファンもうなるほどのラインアップだ。「磯自慢」に「十四代」「獺祭」など、寝る間も惜しんで飲みたくなるほどだ。
機内食を担当する田中誠二・顧客マーケティング本部商品サービス開発部開発グループ長は、「洋食と合うような日本酒も必要なのではないか」と常々思っていた。そんなときに、磯自慢という日本酒と出会い、衝撃を受けた。
「香りが良くて、食中でも合う。本当においしい。こういう日本酒をそろえたい」と思ったという。そこで、2004年から、機内の日本酒を磯自慢などに入れ替えたのだ。
「破綻後は日本のエアラインとして、日本の素晴らしさを提案するという方針があり、それにも合致している」(田中グループ長)
ただし、おいしい日本酒があったとしても、簡単には仕入れることはできない。何しろ、ほとんどの人気の日本酒は、手に入れることさえ、ままならない。まして年間を通じて供給することは難しい。
田中グループ長は、自ら全国の蔵元に頭を下げて回り、名酒に強い酒販店ともつながりを強めた。今では、プライベートで一緒に海外旅行に行く蔵元さえいるという。その熱心さが、今のJALのラインアップを支えている。