今、ウイスキーが世界的なブームとなっています。消費を牽引しているのはBRICSに代表されるような新興国。ちなみに世界一ウイスキーを消費していた国は長らくアメリカでしたが、ここ数年はインドだそう(土屋守「ウイスキー通」新潮選書より)。経済成長著しい、中国も消費を伸ばしています。
ウイスキーというお酒は経済成長の象徴なのかもしれません。日本においては戦後、一貫して消費量を伸ばしていましたが、1980年台に入ると一気に減少。ようやく増加に転じたのは2000年代に入ってから。日本生まれのカクテルであるハイボールがブームになったのは記憶にあたらしいところです。なんとなく「大人のお酒」っていうか「おっさん臭い」とも思われていたウイスキーのイメージを改善するべく、堅苦しくなく飲めるハイボールが受け入れた格好でしょうか。
今年はNHKの朝ドラの主人公がニッカウヰスキー(以下、ニッカ)の創業者、竹鶴政孝とその妻リタがモデルなので酒造メーカーは売上を伸ばすため、このところ盛んにPRしていますね。今のところ目立っているのはPR上手なサントリーのような気がしますが、ニッカがつくったサイト「マッサンとリタの物語」も好評な様子です。
実は世界で熱狂的な人気を集める
日本のウイスキーの基礎知識
ところで、お酒について語るのって難しくないですか? お酒の話を書くことが許されたのは、作家でいえば伊集院静さんのような方たちが世代でいえば最後。それ以降の世代が語ってもなんとなく『様』になりません。
インターネットにウイスキーのうんちくを書いたら「村上春樹か(笑)」と揶揄されそうな風潮があります。村上春樹さんには『もしも僕らの言葉がウイスキーだったなら』という名紀行文がありますが、今の時代=若い世代の作家にはちょっと書けない種類の本です。ウイスキーに代表されるような大人文化(この表現は好きじゃないですが)はすっかり衰退したように思います。
ところが、日本から一歩、外に出てみれば、状況は変わります。最初に述べたように新興国でウイスキーは非常に人気ですし、日常消費でいえばフランスもなかなかです。若者のワイン離れ、が叫ばれているフランスでも、ウイスキーは意外と消費されているのです。