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エコカー大戦争!

中国の権威ある自動車学会総会で
「自動運転」が冷笑されたワケ

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第191回】 2014年11月5日
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上海郊外にある、上海オートエキスポパーク。同内の「上海汽車會展中心」でSAE-Chinaの年次総会が行われた。また同地は電気自動車普及のEVZONEとして充電施設等も多数完備 Photo by Kenji Momota

最先端の自動運転技術を説明
会場内からの質問の答えに対して冷笑

 「まず、そうした状況に陥らないことだ」。長身のボルボ関係者がそう答えると、会場内のあちらこちらから冷笑が起こった。

ボルボは2017~2018年、スウェーデン国内で一般市民参加型で100台を使った自動運転実証試験「Drive Me」を予定 Photo by Kenji Momota

 さらに、デンソー、そしてボッシュの関係者も「私も同感だ。そうした状況に陥らないことが大事」と回答すると、会場内の冷笑は続いた――。

 ここは、上海の市街地から北西へ約40km。中国の大手自動車メーカー、上海汽車の関連施設やF1が開催される上海サーキット等が集積する、中国最大規模の自動車産業基地だ。そのなかの上海オートエキスポパーク内のイベント会場で、中国の自動車技術学会(SAE-China)の年次総会(2014年10月22~24日)が行われた。

 開催2日目の午前中、メインステージでは自動運転に関するセッションが実施された。登壇したのは、中国資本のスウェーデン企業・ボルボを皮切りに、ドイツのボッシュ、日本のデンソー、ドイツのコンチネンタル、そしてアメリカのデルファイの順序で自動車部品大手メーカーがプレゼンした。

 冷笑が起こったのは、プレゼンを終えた5社関係者と司会進行役の清華大学の教授によるパネルディスカッションで、会場内からの中国人の質問に対してだ。

 彼は、自動運転車に乗車している人の家族に緊急事態が起き、さらに路上では複雑な交通状況が重なったと具体的な設定を説明。こうした自動運転車が“究極の選択”を迫られるような事態に遭遇した場合でも、「自動運転車は的確に動くのか?」と聞いた。

 この質問を聞いて、筆者を含め会場内の200名近い参加者の多くが「AI(人工知能)が今後、発達することによって…」といった技術用語による“当たり障りのない回答”を想像した。ところが、ボルボ関係者は“人の問題”として回答したのだ。また上記5社の関係者うち、ボルボとボッシュは白人、デンソーは日本人、そしてコンチネンタルとデルファイは中国人だったが、驚いたことに中国人関係者の二人が当該質問に関して「これは中国人の交通に対するモラルの問題だ」と指摘した。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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