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子育て事情が違うインドで欧米企業を猛追する
育児用品大手「ピジョン」の戦略

岡 徳之
2014年11月12日
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 首都デリー近郊の都市として、急速に発達しているグルガオン。PIGEON INDIAは2009年、PIGEON SINGAPOREの子会社として、この地に設立された。インド西海岸にある国内最大の都市ムンバイにも拠点を置き、ここで広い国土全体に対する営業活動、そのために敷かれた販売ネットワークを統括している。

 インドの人口は13億人。年間出生数は約2600万人で、日本の約25倍、中国の約1.6倍にも上る。育児用品メーカーにとっては世界最大の市場だ。仮に比較的購買力のある富裕層と中間層に絞ったとしても、ボストン・コンサルティング・グループの試算によれば2020年には1億4900万世帯と10年でその世帯数は2倍に増えるという。当然、多くの外資系育児用品メーカーが、富裕層と中間層を、虎視眈々と狙っている。

ピジョンインド法人の川口篤史社長。母親たちへの地道な教育活動が奏功してきた

 ピジョンは、同じく巨大市場である中国では、シェア5割を握る大手に育った。しかし、インドでは出遅れている。

 インド法人の設立時期自体は、ほかの外資と同じ頃だった。現地代理店を通じた商品の販売に遡れば、20年も前になる。しかし現在のところ、一般層向けの育児用品は現地メーカーが、富裕層向け市場はほかの外資メーカーが先行しており、ピジョンのシェアは5%程度に留まっている。

 しかしここにきて、来年度には事業を黒字化する見込みが立ってきた。事業拡大に伴って、来年1月にはデリー近郊の新工場の稼働開始も予定している。シェアは19年には20%にまで引き上げようとしている。

子育て事情の違いが行く手を阻む
母親たちへの育児講座で認知広げる

 ピジョンが苦戦してきた最大の理由は、インドと日本の子育て文化の違いだ。日本も昔はそうだったが、インドでは家族と一緒に親戚も赤ちゃんを育てる。姑などが同居し母親に助言を与えながら一緒に育てるのが一般的だ。もちろん自分から情報を集めようとする母親もいるが、助言を忠実に守ろうとする人がほとんどで、古くから続く子育て術がそのまま受け継がれている。

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「マイナビニュース」「J-CAST」など、主にウェブ媒体での執筆活動を行ない、IT業界全体を俯瞰するマ クロな視点とウェブ技術に特化したミクロな視点で、業界を定点観測している。デジタルネイティブ世代とロスジェネ世代の中間層(1986年1月生まれ)。PRエージェンシー勤務を経 て、2011年より企業広報・ソフトウェア開発を専門とした株式会社tadashikuを立ち上げる。国内大手BtoCブランドのPR業 務に従事し、国際的な広告賞を受賞したデジタルクリ エイティブキャンペーンにも携わった。


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