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日本の環境技術を途上国へ。途上国が自立と幸せをつかむ“新しい支援”の形とは?

――ラオスでCO2削減に挑戦(プロアクトインターナショナル株式会社)

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第4回】 2008年12月24日
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 年の瀬を迎え、1年を振り返る時期になりましたね。皆さんは、今年を振り返り、何が一番心に残っていますか?

 私は、この夏に“念願の”旭山動物園に行ったことを思い出します。

 子供たちと一緒に園内の坂道を上りつつ、色々な動物を見て回りました。詳しいことは割愛しますが、キリンの首が長いのも、クロサイの皮膚が分厚いのも、環境に適応する為のもので、全て理由があるとのことです。長い歴史、進化の中での動物の環境適応能力は本当にすごいものだなぁ、とあらためて感じました。職業病的な感想で悲しくなりますが(泣)。

 現代に生きる私たちの環境適応能力とは、なんでしょうか?

 人間は他の動物と違い、道具を発明し、それを使うことで環境に適応してきたと言えるのではないでしょうか。様々な道具に頼っている現代人そのものの環境適応能力は、もしかすると退化しているかも知れませんね。

 少し話しが大きくなってしまったので、身近な問題から考えてみましょう。

 日本の企業は、2度のオイルショックを経験しつつも、資源を持たざる国のハンデを克服して、国際競争能力を高めてきました。それは、地理的な制約条件をバネに、エネルギー効率の改善など環境技術を高めていった結果なのだと思います。このことは、資源を持たざる国としての“環境適応能力”そのものと言えるのではないでしょうか?

 でも、今や資源を持つ、持たざるにかかわらず、これまでのように自由に化石燃料を使うことが出来ない時代となっており、まさに、地球規模で環境適応能力を高めて行く必要に迫られている時代と言えます。この問題に関わらず、少子高齢化の問題や金融危機における公的資金の投入など、日本はどうも他の“先進国”に先駆けて、これから起こり得る様々な社会問題の解決に迫られている気がします(余談ですが・・・)。

日本の環境技術を途上国に。
ラオスの農村に太陽電池パネルを

 規模は小さいながらも、途上国に対して日本の環境技術を活用したコンサルティングをおこなっているプロアクトインターナショナル株式会社(*1)という会社があります。この会社の大瀧克彦社長は、元通産省(現経産省)の行政官でした。通産省時代は、電気事業、エネルギー、海洋開発等において、中長期計画を策定したり、実際に現場に出向いて技術的な指導をされたりしていました。

 しかし、行政官は異動サイクルが短く、大きなプロジェクトを最後まで見届けることが出来ません。何か満たされない気持ちを感じていた大瀧さんは、行政官を辞め、外資系企業に勤務した後、39歳でこの会社を起業します。起業したきっかけは、知人から、「途上国を専門にした技術コンサルタントは少ないから、語学力と行政経験を生かせば仕事はたくさんある」という話しを聞かされたことでした。

(C)プロアクトインターナショナル(株)

 まず、大瀧さんは国際協力機構(JICA)からの委託調査などで数年間実績を積み、1998年にラオスの未電化農村(電力供給のインフラが普及していない農村)へ太陽電池パネルを設置し、地元の人に電気の使い方を教えるプロジェクトのリーダーになりました。

 ラオスでは、まだ7割以上の人々が電気のない暮らしをしています。このプロジェクトでは、1999年に最初の太陽電池パネルを設置し、最終的に約350機の設置を行いました。この電化事業は、その後世界銀行の支援を受けて続けられ、今ではラオス全土で1万機を越える規模にまで発展しています。その礎を築いたのが、大瀧さんたちなのです。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


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