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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

テレビと新聞の“ウェブ対応度”に見る日米の絶望的な格差

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第40回】 2008年9月8日
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 日本でジャーナリストと言われている人々とインターネットの話をすると、「インターネットにはくだらない情報ばかりが溢れている。われわれは、そうした情報ではなく、正しい情報を流す義務を負っている」という反応が返ってくる。

 つまり、彼らは、インターネットで流れている情報は、一般市民が発する草の根報道だけだと思っているのだ。確かに、10年前にはそうだったかもしれない。そして、いまもそうしたものが膨大な量で存在しているのは事実だ。

 しかし、いまや新聞もテレビも、インターネットを通じて閲覧・視聴できるようになってきた。つまり、「マスメディアは、ウェブの中に取り込まれようとしている」のだ。したがって、ウェブの情報には、ブログ、ウィキペディア、YouTube、あるいはBBS(電子掲示板)に代表される「草の根的発信」と、新聞、テレビなどのマスメディアの両方が存在していることになる。

 ところが、日本では、新聞もテレビもウェブへのコンテンツ公開は限定的だ。だから、「ウェブへの移行」ということが、あまり実感できない。それだからこそ、日本のジャーナリストは、「インターネットは草の根メディア」と思っている。しかし、アメリカではすでに大きな変化が生じている。これは、この数年間に起こった大きな変化と言えるだろう。

 ニューヨーク・タイムズについては、この連載でかなり詳しく述べてきた。その当日の、あるいは最近時点のニュースについては、他の新聞でもほぼ同じようにウェブから記事を無料で読むことができる(というより、そもそもは他紙がウェブ公開を進める中で、ニューヨーク・タイムズとウォール・ストリート・ジャーナルが有料制にこだわっていた)。また、豊富な写真やビデオがある。

 過去記事については、どうであろうか? いくつかの主要紙についての状況は、つぎのとおりである(9月4日現在)。

 「ワシントンポスト」。過去記事が検索できる。過去2ヵ月の記事は、無料で閲覧できる。それ以前の記事は「archive search」を用いれば、1877年からの記事を検索できる(ただし、検索にはかなり時間がかかる)。

 「ボストングローブ」。過去記事が検索できる。過去数ヵ月から数年の記事が無料で閲覧できる(場合によって範囲が異なるようである)。アーカイブには、1872年からの記事がある。1979年以降のデータは電子化されていて検索可能。記事の最初は読めるが、記事そのものの閲覧は、本紙購読者以外は有料になっている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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