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森達也 リアル共同幻想論

自虐史観と呼びたければ呼べばよい。
でも、加害の記憶から目を背けてはいけない

森 達也 [テレビディレクター、映画監督、作家]
【第82回】 2014年12月18日
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世界は広い、でも人の頭の中は小さい

 大阪環状線森ノ宮駅を降りる。もう夕暮れだけど晩夏の陽射しはまだまだ強い。目的地まではここから徒歩で5分ほど。でも急がないと。閉館時間が迫っている。

大阪空襲で米軍が落とした焼夷弾の複製模型
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 館内に入ってすぐ目につくのは、大阪空襲の際に米軍の爆撃機が落とした焼夷弾の複製模型だ。傍でまじまじと眺める。何だか笑い出したくなるくらいに大きい(もちろん笑わないけれど)。

 動物園に行ったとき、僕はダチョウの大きさに毎回驚く。あるいはカバやサイやバッファロー。水族館ならマンボウとかジンベイザメとかセイウチ。博物館ならバシロサウルス・ケトイデスやメガロドンやインドリコテリウムの骨格標本。何度も見ているはずなのに、見るたびに呆然と口を開けながら、大きいなあなどとつぶやいている。これを何度も繰り返す。バカすぎて悲しくなる。たぶん見終えると同時に彼らのイメージは、頭の中で縮小しているのだろう。

 世界は広い。でも人の頭の中は小さい。整理整頓するためにはイメージを折りたたむ。特に規格外に大きいものや悲惨なものについては、この作業が強く働く。つまり矮小化だ。

 だから足を運ぶ。何度も見る。見るたびに驚く。見るたびに圧倒される。

 焼夷弾の複製模型のすぐ横には、空襲を受けた大阪市街(戎橋筋界隈)のジオラマが置かれている。松竹座など大きな建物は残っているが、他はほぼ何もない。街は燃え尽きて茶色のガレキが広がっている。

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森 達也 [テレビディレクター、映画監督、作家]

1956年生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。ドキュメンタリー映画『A』『A2』で大きな評価を受ける。著書に『東京番外地』など多数。


森達也 リアル共同幻想論

テレビディレクター、映画監督、作家として活躍中の森達也氏による社会派コラム。社会問題から時事テーマまで、独自の視点で鋭く斬る!

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