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もはや「使える」だけではITスキルとは言えない
――従業員のITスキルを向上させるには

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第31回】 2014年12月5日
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今や企業においてパソコンやオフィス・ソフトウェアの操作スキルは、昔でいうところの「読み・書き・そろばん」のように、持っていることが当たり前のビジネススキルと認識されるようになっている。そして、現在のビジネスにおいては、コンピュータの操作スキルを超えてさらに広範なITスキルが従業員に求められている。

企業が従業員に求める
ITスキルは変化している

 以前は、ITリテラシーという概念は、パソコンや表計算ソフトなど操作スキル(コンピュータ・リテラシー)を指す狭義の捉え方が一般的であった。これは、多くの従業員がパソコンやソフトウェアに不慣れであり、これらの操作方法の習得に一定の研修や教育が求められたためである。

 しかし、今や学校教育にもパソコンが採り入れられており、若手を中心にデジタルネイティブな従業員の割合が高まっている。昨今では、新入社員教育の際に、自社独自の業務システム、自社で利用する特定のグループウェアやイントラネットの研修、情報セキュリティやネットマナーなどに関わる啓発的教育は行うが、ワープロ、表計算、ブラウザなどの一般的なコンピュータ研修は行わないという企業が増えている。

 新人だけでなく、一般社員に対するIT研修についても同様の傾向となっており、いわば狭義のコンピュータリテラシーは昔でいう「読み・書き・そろばん」と同様に、持っていることが当たり前のビジネススキルと認識されるようになっている。

 ITリテラシーが狭義に捉えられていた時代には、人事部門とIT部門が協力して、リテラシー向上の取り組みとしてパソコン研修や、ワード、エクセルなどオフィス・ソフトウェアの研修を行うなど、ITリテラシーの向上はIT部門の任務のひとつであった。

 しかし、狭義のITリテラシー、すなわちコンピュータ・リテラシーが当たり前のスキルとなり、業務やビジネスの遂行においてITが不可欠な存在となるにつれ、より幅広く、高度な意味でITリテラシーを捉え直す必要性が高まってきている。

 つまり、ただ単にコンピュータ操作ができるだけでなく、ITを活用して業務やビジネスに役立たせること、ITの利活用に対してユーザーとして正しい認識と能動的な関わりを持つこと、そして、自らの業務を改善・改革する際に情報システムに対してどのような要求を持つかを正しく表現できることなどが求められるようになってきている。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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