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IT部門の平均年齢が50歳超という企業が続出!
――深刻化する「IT人材高齢化」への対処法

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第30回】 2014年11月21日
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多くの企業においてIT人材の年齢構成における歪みが問題となっており、筆者はこれをIT部門の「人口ピラミッド問題」と呼んで警鐘を鳴らしている。昨今ではとりわけ、ベテランIT人材の処遇や活用に頭を抱える経営者やIT部門長が多い。人事ローテーションやIT部門の業務領域の拡大などにより、ベテラン人材に活躍の場を提供することが求められる。

高齢化問題を抱える
IT部門の実態

 多くの企業のIT部門が、人材育成やキャリアパスに関する課題を抱えている。なかでも、昨今特に多く聞かれる話は、50歳代を中心とするベテランIT人材や定年後に再雇用したシニア人材の処遇や活用に関するものである。

 筆者に寄せられる質問には、IT部門の役割変化やテクノロジの進化に対して、ベテラン層のスキルチェンジを促進する方法、ラインマネジメントとしてではなくエキスパートとしてのキャリアパスにおいてモチベーションを高める制度、ベテラン人材を活用すべき業務分野についてなどが挙げられ、その内容は多岐にわたる。

 IT部門あるいは情報システム子会社において、高齢化問題を抱える企業は非常に多い。ベテラン社員の処遇や活用に関する問題は、IT部門に限った話ではないが、技術革新の著しいIT分野ではより深刻といえる。

 ある金融業のIT部門では、平均年齢がすでに50歳を超えており、業務内容に対して賃金が見合わないことに苦慮している。また、ある製造業の大手企業では、情報システム子会社のベテラン社員が古い技術に固執し、本社IT部門が推進しようとしている新規技術の採用を阻止しようとする動きに困惑しているという。

 処遇については、ラインマネジメント(課長・部長など)のキャリアパスと異なる専門的なキャリア職種(専任部長、エキスパート職など)を設置するという方法を採用しているケースが大手企業を中心に多く存在する。

 ある製造業では、IT部門に限らず研究開発部門、製造部門、管理部門などで専門的な業務を遂行する人材をエキスパート職として別キャリアを設定し、部下を持たない専門家としてライン長と同等の処遇をするといった制度を運用している。

 しかし、これによってベテラン人材が高いモチベーションを持って仕事に取り組むことができているかという点については、必ずしも成功しているとはいえない面がある。

 なぜかというと、部下を持つライン長のほうが格上の成功者と見なされ、ラインを持たない専門職は格下の脱落者と見なされる企業文化や意識が残っていたり、専門的な能力や成果を的確に評価する手法が確立されていなかったりといったことから、エキスパート職が正当に処遇されないという声があがっている。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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