「君、社内政治がうまいね」。そういわれると、あまり嬉しくありませんね?“うまく立ち回る人間”と言われているような気がするからです。実際、そう囁かれる人で存在感のある人は見かけません。しかし、「あの人は政治力がある」と言われれば、「実力がある」と評価されている証拠です。では、「君、社内政治がうまいね?」と言われる人と、「あの人は政治力がある」と言われる人は何が違うのでしょうか?
「場当たり的」な対応は、必ず破綻する
社内政治とは、「人間関係のなかで、うまく立ち回ること」だと考えている人もいるかもしれません。
もちろん、社内の力関係を見極めながら、賢明なアクションを起こしていく必要はあります。しかし、それは「うまく立ち回る」という言葉のもつニュアンスとはかなり異なるものです。むしろ、浅はかな考えに基づいてうまく立ち回ろうとすれば、かえって社内での立場を悪くしてしまうものです。
わかりやすいのが「八方美人」。
誰に対しても調子を合わせて、周囲に取り入ろうとする人物です。
たしかに、「味方を増やして、敵をつくらない」のは社内政治の鉄則です。そのため、誰に対しても好意をもって接することは非常に大切なことです。しかし、誰に対しても好意をもって接することと、誰に対しても調子を合わせることは、似て非なるものです。
たとえば、職場で意見の対立するふたりの人物がいるとします。
そのふたりが有力者であれば、周りの人間としては対応に苦慮するところです。安易にどちらかの意見に賛同すれば、もう一方との関係を悪化させてしまうからです。そんな状況のなか、ふたりの人物にそれぞれ調子を合わせていれば、その場その場では「身の安全」を図ることはできるでしょう。
しかし、どんなにうまく立ち回っても、いずれその「二枚舌」はばれます。同じ場所に居合わせた第三者が、相手によって言っていることが違うことに気づくときが来るはずです。それは、対立するふたりの有力者にも伝わることでしょう。そうなれば、周囲の信用はガタ落ち。何を言っても信用されず、職場での影響力は地に落ちるでしょう。「八方美人」は、必ず「八方塞がり」になるのです。
結局のところ、「八方美人」は自分を守るために、相手をあざむいているにすぎません。決して、相手に好意をもって接しているわけではないのです。そして、こうした場当たり的な対応は、一時は成功してもいつか必ず破綻するのです。