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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国の支援でパキスタンからパイプライン
エネルギー安全保障にかける同国の執念

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第236回】 2014年12月11日
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 2002年、イランを取材していたとき、首都テヘランのいろいろなところに行った。石油公団のような機構に行ったときは、すごいものを発見した。そのオフィスビルに入ると、がらんとした1階のロビーの隅っこに、地理用の模型らしい工作物が置かれている。ビルの1階に置かれているのを見て、このビルに出入りする人々に見せようとしているのでは、と思った。

 しかし、出入りする人々は誰も関心を払っていない。一体何だろうと確かめたら、カスピ海から中国へ延びて行くパイプラインと、それが経由するアフガニスタンやパキスタンの地形を描いたものだと言われた。そのとき、さすがに驚いた。だが、それ以上、関心を示さなかった。アフガニスタンが戦乱中にあることを考えて、これは非現実的なプロジェクトだと判断したからだ。

パキスタンから伸びるパイプライン

 ところが、最近、中国から伝わってきたあるニュースを見ると、どうしたわけか、当時テヘランで見たあのパイプラインの敷設路線図模型を思い出さずにはいられなくなった。このニュースの出所はパキスタンのメディアだ。11月25日にパキスタンのメディアが報じたものによると、中国は30億ドル近くを投じてパキスタン南部のグワダル港から中部のナワブシャー市に液化天然ガスのパイプラインを敷設することになり、完成すればペルシャ湾地区の天然ガス資源を新疆ウイグル自治区のカシュガルに直接輸送でき、エネルギー・安全・経済において重要な意義がある、という。

 パキスタンの政府関係者の話では、パイプライン建設は両国の取り決めによるものであり、公開入札は行わず、30億ドルのうち10億ドルはパイプライン敷設、20億ドルは関連施設に用いられるという。

 パイプラインは将来的にはイランまで延伸される可能性も残されており、1日あたり少なくとも10億立方メートルの天然ガスを輸送することができる。

 このパイプラインが完成すれば、中国のペルシャ湾からのガス輸送はインドを避けることができ、石油やガスの輸送上の安全が確保しやすくなる。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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