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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

ウクライナで事態収拾を図り極東開発を志向
中国と急接近するロシアの「本音」とは

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第84回】 2014年6月26日
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 先月、ロシア連邦サハリン州を訪問した。主な訪問先は、サハリン州教育省とサハリン国立大学であった。立命館大学とサハリン国立大学が大学間の包括協定を締結することになり、川口清史総長に随行する一人としての出張だった。なぜ筆者が随行したかは、大学間の包括協定調印後、具体的に大学間の交換留学プログラムや共同研究を行う主体となるのが、政策科学部だからだ。

州都・ユジノサハリンスクの冬景色(左)と春の訪れ(右) Photo by Masato Kamikubo

 この協定の下準備として、今年2月にもサハリン州に出張していた。2月の出張時は気温マイナス20度の極寒期であった。完全に雪に埋もれた街並み、農業はできず、工場も稼働できない。ウィンタースポーツなど観光もほとんどやっているように見えない。正直、この世の果てのようで、どうしようもないという印象だった。だが、再訪した時は、積雪が完全に消えて、風景はまったく違っていた。涼しく、穏やかな気候で、過ごしやすく感じた。

 さて、立命館大学・サハリン国立大学の大学間協定の話である。サハリン国立大学は、海外のさまざまな大学とのネットワーク形成を重視してきた。既に、日本の大学などと多数の大学間協定を締結している。

 ご存知の通り、サハリン州の主要産業は天然ガス開発である。ところが、ガス開発を担うのは、モスクワから派遣された人材と、日、米、英を中心とする多国籍企業体というのが現実だ。そこで、サハリン国立大は、サハリン州からエネルギー開発の技術者と経営の専門家育成が急務だと考えている。

堂々たる雰囲気のサハリン国立大学首脳陣 Photo by Masato Kamikubo

 例えば、経済学部は「東洋経済学部」と名乗っているが、それには、日本や米国のエネルギー開発の技術を吸収すること、経営ノウハウを学ぶこと、そして主要なエネルギーの取引先の文化・歴史・民族性などを学ぶことが重要だと考えている。だから、日本・米国など海外大学のリソースも利用して人材育成を進めようとして、ネットワークを築いてきたのである。

 サハリン国立大は、立命館大との協定を「日本で3番目に大きい大学」との協定だと、期待を持っているようだ(決して、3番目に優秀とは言ってくれないが)。協定の調印式は、堂々たる雰囲気の教授陣が並び、まるで「日露首脳会談」を思わせるような、荘厳な雰囲気であった。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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